想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 デザートまでしっかり堪能してコーヒーをいただいていると、凱斗さんが何かをテーブルに置いた。

「蒼羽、よかったら受け取って。遅くなったけど、誕生日プレゼント」
「えっ?」

 シャンパンゴールドの小箱が、目の前に置かれている。

「……どうして?」

 こうして一緒に食事をすることがプレゼントだと思っていた私は、驚いてなにも言えなくなる。

「どうしてって、奥さんの誕生日に何か送ろうと思うのは自然なことだろ」
「そうなのかもしれないですけど、でも私達は……」

 お互いの利益のための、契約結婚なのに。

 どうして凱斗さんは、こんなによくしてくれるの?

「初めて一緒に過ごす誕生日に、記念に残るものを贈りたいって思ったんだ」
「凱斗さん……」

 受け取っていいものか私が躊躇していることが伝わったのだろう。

「蒼羽が受け取ってくれたら、俺は嬉しいよ」

 凱斗さんが喜んでくれるなら。それなら私は……。

 おずおずとその小箱に手を伸ばす。

「開けてみていいですか?」
「もちろん」

 ゴールドのリボンを解き、ギフトボックスの中を覗く。

 現れたのは、プラチナの台座に上品なパールが乗ったピアスだった。