想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 あれこれ迷った結果、あまり待たせるわけにもいかないと思い、誕生日当日のディナーに来ていくはずだったワンピースを着ることにした。

 部屋を出て、リビングで待つ凱斗さんの前に立つ。

 振り向いた凱斗さんが、大聞く目を見開いた。

「……すごくいい。似合ってる」

 褒めてもらえて、ホッとする。と同時に、やっぱり気分が高揚する。

「見たことないけど……ひょっとして、誕生日のために新しくした?」

 うわ、バレバレで恥ずかしい。

「気づいちゃいました? 今まで誕生日ディナーとか経験なくって。手持ちでよさそうな服もなかったんで、思い切って新しいの買っちゃいました」

 今さら取り繕っても仕方がないので、正直に告げる。

「今まで一度も? 本当に?」
「はい、そうですけど……」

 そんなところに引っかかるの?

「凱斗さん?」

 急に黙ってしまった凱斗さんを覗き込む。

「いや、なんでもない。行こうか」

 彼に手を取られ、地下の駐車場へと向かった。