想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 チェックを済ませ、ホテルを出る。

 暑さに怯みそうになるけれど、目的もなく街中を歩く。

 ショーウインドーに映るおしゃれした自分の姿を見て、なぜだか泣きたくなった。


 私は、なんでこんなに落ち込んでるんだろう。なんでこんなに空しいの?

 答えは出ないまましばらく歩く。

 どこかに寄る気にもなれなくて、そのまま吸い込まれるようにして地下鉄の駅に降りた。


 凱斗さんに会えたのは、一週間後。

「ただいま帰りました」
「おかえり」

 三泊四日のボストンステイを終えて帰ると、少し疲れた顔の凱斗さんに出迎えられた。

 予定外のステイが入った後、操縦技術の審査と年一回の身体検査が重なり、バタバタしていたらしい。

「審査はどうでした?」
「ちゃんとパスしたよ。身体検査も問題なし」

 私の荷物を受け取って、リビングまで運んでくれる。手洗いとうがいをすませて、凱斗さんがいるリビングに戻る。

「荷物ありがとうございます」
「いや、蒼羽ちょっといい?」

 ソファーに座る凱斗さんが手招きをする。

「なにかありました?」

 彼の横に並んで腰かけた。

「蒼羽、誕生日あんなことになって本当にごめん」