想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 昇格したことを告げても、以前のように喜んではくれなかった。

 それどころか、恋愛や結婚のことを話題に出すようになり、しまいには『できれば地元で結婚してほしい』と言い出す始末。

 どうやら母の周囲で子供の結婚や孫誕生の報告が相次ぎ、焦りを感じてしまったらしい。

 ちなみに私には5歳離れた妹がいるが、今年大学卒業と同時に福岡を離れている。子供が全員手を離れ、寂しいのもあるんじゃないかなと思う。


 すると、まるでタイミングを見計らったかのように、スプリングコートのポケットの中でスマホが鳴った。

「ちょっとごめん」

 麻衣に謝ってスマホを取り出し、画面を覗く。ホーム画面の通知には新着メッセージの文字。

【次はいつ帰ってくる? 蒼羽に紹介したい人がいるんだけど】

「あー、やっちゃった……」

 焦ってメッセージの画面を開いてしまい、既読マークをつけてしまった。

「誰から?」
「福岡の母から……」
「返事返す? 急用なら待っとくよ」
「……大したことじゃないから大丈夫」

 なんて言っている間にも、母から怒涛の勢いでメッセージが入って来る。