想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 一緒に出掛ければ『楽しかった』と言い、食卓を共にすれば上機嫌で笑う。

 自制がきかずについ触れてしまった時も、俺を拒みはしなかった。

 会社で一緒に乗務したCAに言い寄られそうになった時は、蒼羽が近くにいることに気づいて、柄にもなく熱烈な愛の言葉を口にした。

 それを聞いた蒼羽が顔を真っ赤に染めていたのは、嬉しかったからじゃない。


『本当に愛されて結婚したんじゃないかって勘違いしそうになりました』


 感動したのは、蒼羽ではなく一緒にいたチーフパーサーの方。

『俺は嘘はつかないって言ったじゃないか』

 思わず漏れ出た言葉は浴室給湯機のアナウンスのせいで彼女には届かなかったらしい。

 キョトンとする蒼羽を見て虚しさがつのる。


 なんとも思っていない人たちからは、あんなに好意を向けられるのに。

 ただ一人、本当に愛している女性は、俺の気持ちに気がつかない。


 それでも、君のことを諦める選択肢は俺にはないから。

 俺は君に愛を示し続ける。