想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「お風呂ありがとうございました。コーヒー入りましたよ」

 凱斗さんと二人で並んで、リビングのソファーに腰掛ける。

 お腹もいっぱいで、コーヒーのいい香りが部屋に満ちていて、なんとも幸せな気持ちだ。

「あー、美味しい。幸せです」

「蒼羽これ気に入ってたもんな。また買ってくるよ」

「嬉しいです。私もパリ便に乗務することがあったら探してみます」

 もらってばかりで申し訳ないし、私も次からなにか買ってこよう。

「なんだか私ばっかりよくしてもらっちゃって。凱斗さんだって忙しいし、試験の勉強もあるのに」

 最初の頃、同居を渋っていたのが嘘みたい。今は、とても居心地がいい。

「知らないうちに疲れがたまってたのか、帰って来た時はちょっと憂鬱な気分だったんです。凱斗さんの美味しいごはんのおかげで、元気になりました」

 私がそう感じるようになったのは、きっと凱斗さんのおかげ。

 彼が、歩み寄ってくれたから……。

 そんなことを実感しながら、コーヒーをゆっくり味わっていると、今度は凱斗さんが口を開いた。

「今日変なところ見せて悪かったな」

 手にしていたカップをテーブルに置いて、首を振る。