想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 軽く息を吐いて微笑むと、凱斗さんがようやく口を開く。

「おやすみ、蒼羽」
「おやすみなさい……」

 そう告げると、凱斗さんはソファーから立ち上がり、自分の部屋へ行ってしまった。


 凱斗さんの部屋は、リビングを挟んで奥の方にある。

 私は動けないまま、彼の部屋のドアが閉まるぱたんという音を、背中で聞きいた。


 なんだったんだろう、今の。でも、嫌なわけじゃなくて……。

 心臓は早鐘を打ったまま、ジワリと胸に広がる想い。


 本当はもう少し、話していたかったな。

 一緒に暮らしているのに、おやすみを言った後はそれぞれ違う部屋に帰ることが、なんだか寂しく感じた。