「蒼羽」
「はい」
凱斗さんが、私の名前を呼ぶ。
呼ばれることも、凱斗さんを名前で呼ぶことも、慣れるまでだいぶ時間がかかったのに、もうすっかり馴染んでしまった。
「嘘で始まった結婚だけれど、俺は二人でずっと楽しく過ごせたらと思ってる。俺に嫌なところがあったらすぐに言って。死ぬ気で直す」
「死ぬ気でなんて大げさです。それに、嫌なところなんてありません」
凱斗さんは、気遣い屋で、優しくて、一緒にいて楽しくて……。
彼に対して漠然と抱いていた『苦手だ』という印象は、私の中で全部ひっくり返ってしまった。
「これからもよろしくな、蒼羽」
「こちらこそよろしくお願いします」
ソファに座り、向かい合う凱斗さんの表情が僅かに翳る。
「……凱斗さん?」
静かに伸びて来た右手が、私の頭に触れた。
手のひらで優しく、そっと撫でられる。
凱斗さんの物言いたげな瞳と、一瞬触れた温もりに心臓が音を立てた。
「はい」
凱斗さんが、私の名前を呼ぶ。
呼ばれることも、凱斗さんを名前で呼ぶことも、慣れるまでだいぶ時間がかかったのに、もうすっかり馴染んでしまった。
「嘘で始まった結婚だけれど、俺は二人でずっと楽しく過ごせたらと思ってる。俺に嫌なところがあったらすぐに言って。死ぬ気で直す」
「死ぬ気でなんて大げさです。それに、嫌なところなんてありません」
凱斗さんは、気遣い屋で、優しくて、一緒にいて楽しくて……。
彼に対して漠然と抱いていた『苦手だ』という印象は、私の中で全部ひっくり返ってしまった。
「これからもよろしくな、蒼羽」
「こちらこそよろしくお願いします」
ソファに座り、向かい合う凱斗さんの表情が僅かに翳る。
「……凱斗さん?」
静かに伸びて来た右手が、私の頭に触れた。
手のひらで優しく、そっと撫でられる。
凱斗さんの物言いたげな瞳と、一瞬触れた温もりに心臓が音を立てた。


