想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 唇を尖らす麻衣を見て、思わずふき出してしまう。

 麻衣の表情豊かなところが、私は結構好きなのだ。それを仕事中はうまく隠して、プロとしてお客様に接しているところはさすがだと思う。


「やけに青柳さんの肩を持つけど、ひょっとして蒼羽って、青柳さんのこと狙ってる?」

 びっくりして、慌てて両手を振る。麻衣に変な誤解をされたらたまらない!

「まさか! ないない。麻衣も知ってるでしょ、私のタイプがどんな人か」

「優しくって思いやりがあって蒼羽を甘やかしてくれる王子様みたいな人だったっけ。まあ、青柳さんはそういうタイプじゃないわね」

 そうだと思う。私も青柳さんが彼女にでろでろに甘くなってる姿なんて想像できない。

「私が青柳さんみたいな人を好きになることはないよ。どっちかっていうと、苦手なタイプだもん。それに、私は、今は恋愛より仕事なんだよなぁ」

 勉強や試験を頑張って、ようやくパーサーになれたのだ。これからもっと経験を積んで、一日でも早くチーフパーサーになりたい。

「出たー、蒼羽の仕事バカ。そんなことばっかり言ってたら、いい人に出会っても気づかないわよ」