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・【02 団子二本目:六月下旬(2)、溜まり池事件】
・
俺と征喜は幼馴染なので帰る方角が一緒だが、俺は意思を持って一緒に帰らないようにしている。
何故なら征喜はずっとサッカーの話をし続けるからだ。俺は征喜のサッカーのことならまだ聞けるが、世界的なサッカーの話は一切興味が無い。
というわけで、距離を取って帰宅するため、征喜を先に歩かせて、俺はちょっとゆっくり歩く。
ふと、校門のほうに目をやると、小学生の団体がいて、何だろうと思う。
中学校の下校時間は基本的に小学校よりも遅い。
なのに何で小学生の団体が中学校の校門の前で立っているのだろうか。
身長は征喜や俺よりも低く、ランドセルも背負っているので小学生で間違いないだろう。
すると、どうやら小学生たちは征喜のことを待っていたらしく、征喜が近付いたところで口々に、
「ヤノダンゴ探偵だ!」
「ヤノダンゴ探偵に任せれば大丈夫だ!」
「ヤノダンゴ探偵さん! お願いします!」
あらヤだ、嫌な求心力。
これは巻き込まれないように、ひっそり後ろを通って帰るかと思ったその時だった。
「助手が来たぞぉ!」
そう言って俺に向かって手を振った征喜。
それに釣られて俺に手を振り出した小学生たち。
もうマジで嫌過ぎる。
中学生になると、めっちゃ小学生が嫌になるのだ。一緒に居たくないというか。
なのに征喜はもうその団体の中央に居て。何なんだコイツ。サッカー選手のメンタルなんだよな。サポーターと触れ合うサッカー選手なんだよな。
征喜は俺に近付いてきて、
「早速事件の解決に急ぐぞ!」
と俺の手を握って引っ張ってきたので、それを見た小学生たちが、
「ひゅーひゅー」
と言い出して、もうガキ過ぎてめっちゃ不快だった。
手を繋いだだけでなんなん? というか手を繋ぐなよ、サッカー選手の入場かよ。あのサッカー選手の入場なんなんだよ、嫌いだわ。
いやついサッカー選手の入場へ心の中で悪態をついてしまった。あれは別に良い。俺に関係無いから。
俺は征喜に促され、征喜は小学生に促され、そのまま歩いていき、その事件が起きているという場所に着いた。
「ヤノダンゴ探偵さん! ここの池に薄気味悪い現象が起きているんです!」
一緒についてきていた小学生の一人がそう言った。
というかヤノダンゴ探偵をこの世代にまで浸透さすな。
ヤノダンゴ探偵をとどろかせるなよ。
征喜は小首を傾げながら、
「風流な池じゃないか、ここにどんな現象があるんだ?」
と言ったんだけども、正直こ汚い池だった。
水はめちゃくちゃ濁っているし、なんというか死んでいる池といった感じで魚の類はいない。
ただの雨水が溜まりやすい場所って感じで、とにかく淀んでいて、若干臭かった。
小学生の一人は首のあたりを掻きながら、こう言った。
「僕たちはここでアメンボの観察をすることが好きなのですが、最近この池の中に土が積まれるようになっていて。でも土砂崩れとか無さそうな地形ですし、ということは自然に土が積まれているわけじゃなくて誰かがやっているんだと思うんです。だから一体何者がこんなことをしているのかなと思っているんです!」
アメンボの観察か。
まあ直径十メートルくらいの池なら、アメンボも住みやすいか。
それにしても小学生って本当虫好きだよな、俺は嫌だよ、可愛い猫が良い。それも映像ね。映像の猫が良い。実物は実物で怖い。
征喜は小学生から土が積まれている場所を指差してもらって、眺めている。
俺も見ると、確かに土が置かれているように見える。というかこの感じだと、池自体かなり浅いみたいだ。
何か毎日作業すれば、土で埋めれるような池だなぁ。
さっきとは別の小学生が肘のあたりを掻きながら、
「ここは僕たちのアメンボ広場なんです! なんとか犯人を見つけ出して止めてください!」
そう言ってから、頭を下げた小学生に合わせて、みんな頭をさげ始めた。
ダラダラと頭さげが伝播していったみたいな感じのさげ方で、小学生だなぁ、と思ってしまった。
さて、犯人を突き止めて、やめさせるということか。
こんなこと探偵の真似事をしているのも小学生みたいだなと思っていると、征喜が、
「まずは聞き込み捜査だ!」
と言って、池の近くにある家へ向かって歩き出した。
その後ろを小学生たちもついていって、こんなんが玄関に立っていたら嫌だろうなぁ、と思った。
俺は後ろから見ることにして、征喜はチャイムを鳴らし、ちょっと待ち、住民が出てきたところで喋り始めたみたいだ。
征喜の声は大きいので、何を言っているかは分かる。
「本当に見ませんでしたか!」
とか言ってる。
どうやら目撃情報は無いみたいだ。
住民は何だか嫌そうな顔をしていた。俺の鏡かよと思った。
まあ俺の鏡にしてはおじさんだったけども。でもそんな年上でも無かった感じ。主夫なのかな?
俺は住民の敷地には入らなかったけども、庭の中はちょっとのぞかせてもらった。
家庭菜園を綺麗にやっていて、中学校の畑のような雑さは無かった。
そもそも中学校の畑は雑過ぎるんだよな、課外授業の一環でやっているから誰も詳しい人いないし。
だからあんな事件っぽいことが起きてしまうんだよ。
ここの人を特別な先生として招き入れればいいのに。そんなことを思っていた。
その後も、征喜と小学生たちは池に近い家から順に聞き込み捜査をしていた。
まあどんどん池から離れていくので、このまま帰ればいいのに、と思っていた。
俺はついていかず池に残って、積まれたという土の様子をよく観察する。
何か小石? 小石というかちょっと見たこと無い感じの石が入っている土だなとは思った。
いや石じゃないのか? でも触れたくはないなぁ、汚い池の中に入っている土だし。
岸(と言うほどでもないけども)からギリ離れた場所に土が盛られているので、手が届かないし、まあ届いたとしてもやっぱり触れないけども。
というか、そうか、大体犯人が分かったぞ、完全特定まではいかないけども、どのあたりの人ということは分かった。
さて、と思ったところで、聞いた事のある声が後ろからした。
「えっ? キムチくんですか?」
振り返るとそこにはエリーちゃんがいた。
どうしたんだろうと思っていると、エリーちゃんはこう言った。
「えっ、えっ、ちょっとお散歩していたらキムチくんがこんなところにいて。どうしたんですか?」
「あぁ、これはね、征喜がまた事件とかでその解決に来ていたんだ」
……から、俺は喋り出して、事件の概要と、その解決まで全部言った。暇だから。
するとエリーちゃんは何だか嬉しそうに飛び跳ねて、
「えぇー! もう! すごい! さすがキムチくん! すごい推理です!」
と言ってくれて、何かめっちゃテンションが上がった。
エリーちゃんとはバイバイして、ちょっと経ったところで、征喜と小学生はトボトボと肩を落として、こちらへ戻ってきた。
収穫ナシか、まあ無いだろうな、こんな大勢で押し掛けて目撃者情報なんて言い出さないだろう。
「おい、征喜、大体分かったぞ。まずはこの事件を起こした理由からだ」
すると征喜は飛び上がるように背筋を伸ばして、
「本当か! キムチ! その理由が分かれば犯人も芋づる式だ!」
「起こした理由は単純にこの池を埋め立てたいんだよ」
小学生たちは一斉に、
「何でそんなことをー」
「どういうことだよー」
「僕たちへのイヤガラセ?」
とか言い出した。
そういうリアクションになることは分かっているけども、これを言えばまあ納得してくれるかな。
「実はこういう水場には蚊が住み着くことが多くて。蚊の繁殖地になると、近くに住んでいる人は蚊に苦しむことになるんだ」
すると小学生たちはビックリしてから、
「だから体が痒かったんだ!」
「蚊がいるってことっ? 何か嫌だぁ!」
と口々に言い始めた。
俺は最後に、
「だから犯人はこの近くに住んでいる人たちの誰かだね、それをみんなで寄ってたかって目撃者を聞きに行ったら誰も言わないよ」
「そっかぁ……」
と小学生たちは残念そうに肩を落とした。
その中で一人の小学生が、
「じゃあ埋めさせるのやめさせるぞ!」
と言ったので、俺は諭すように、
「いや、ここはもう埋めたほうがいい。そもそも死んでいる池だし、無いほうが景観的にも良いと思う。アメンボは雨が降った時に見るだけでいいんじゃないかな。ここだと蚊もいっぱいだよ」
「蚊かぁ……」
「蚊は、嫌だなぁ……」
と小学生たちがしょげながら口々にそう言った。
征喜はうんうん頷きながら、
「じゃあここはヤノダンゴ探偵として、解決しないといけないな」
いや、
「解決しただろ」
征喜は手を広げて、論じるように、
「そうじゃない! この池をボクとキムチが責任もって埋めるんだよ! 埋めるとなれば周辺の住民が手伝ってくれるはず! 小学生たちは帰るんだ!」
すると小学生たちはゆっくりと挙手しながら、
「ううん、僕たちも手伝う」
「そうだよね、蚊はいないほうがいいもんね」
征喜は拳を突き上げて、
「じゃあ埋め立て作戦開始だ!」
と言ったところで、俺は思っていることを言うことにした。
「今から埋め立てようにも土が足りないし、大変だから、この水が近くの小川に流れ込みやすいように削っていこうか。まず道具を近くの住民から借りてこよう」
俺は征喜と小学生たちには待ってもらって、最初に征喜たちが入っていった家に行った。
そこで家庭菜園道具であるスコップなどを貸してもらった。
その時に俺はそこの住民にこう言った。
「池に土を撒いたのは貴方ですね、あの撒いた土は家庭菜園で使い終えた土ですよね? 多分プランターとかで野菜を育て終えた土を使っているんですよね?」
すると住民の人は申し訳無さそうに、
「分かってしまいましたか、すみません、蚊が嫌なもんで。あそこの土地の所有者、もうずっとこの地区に来ていないので、いいかなと思ってしまい」
俺は少し小声で、
「俺は誰にも言いませんよ。ここからは子供に任せてください。土地の所有者が来たとしても、子供が遊んでいったと言えば大丈夫ですから」
住民の人は明るい声になり、
「じゃあ代わりに池をどうにかしてくださるんですね、ありがとうございます」
俺は頭をさげながら、
「いや良いんですよ、俺たち暇なんで」
俺と征喜、小学生たちはうまく池の水が近くの小川へ流れるようにした。
するとぐんぐん水かさが減っていき、やっぱりたいした水源の無い、腐った池だったようだ。
最後に征喜が小学生たちへ、
「困ったことがあればヤノダンゴ探偵をよろしくぅ!」
と言って通学用バッグから飴を出して配っていた。
何だろう、この便利屋感とは思った。
・【02 団子二本目:六月下旬(2)、溜まり池事件】
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俺と征喜は幼馴染なので帰る方角が一緒だが、俺は意思を持って一緒に帰らないようにしている。
何故なら征喜はずっとサッカーの話をし続けるからだ。俺は征喜のサッカーのことならまだ聞けるが、世界的なサッカーの話は一切興味が無い。
というわけで、距離を取って帰宅するため、征喜を先に歩かせて、俺はちょっとゆっくり歩く。
ふと、校門のほうに目をやると、小学生の団体がいて、何だろうと思う。
中学校の下校時間は基本的に小学校よりも遅い。
なのに何で小学生の団体が中学校の校門の前で立っているのだろうか。
身長は征喜や俺よりも低く、ランドセルも背負っているので小学生で間違いないだろう。
すると、どうやら小学生たちは征喜のことを待っていたらしく、征喜が近付いたところで口々に、
「ヤノダンゴ探偵だ!」
「ヤノダンゴ探偵に任せれば大丈夫だ!」
「ヤノダンゴ探偵さん! お願いします!」
あらヤだ、嫌な求心力。
これは巻き込まれないように、ひっそり後ろを通って帰るかと思ったその時だった。
「助手が来たぞぉ!」
そう言って俺に向かって手を振った征喜。
それに釣られて俺に手を振り出した小学生たち。
もうマジで嫌過ぎる。
中学生になると、めっちゃ小学生が嫌になるのだ。一緒に居たくないというか。
なのに征喜はもうその団体の中央に居て。何なんだコイツ。サッカー選手のメンタルなんだよな。サポーターと触れ合うサッカー選手なんだよな。
征喜は俺に近付いてきて、
「早速事件の解決に急ぐぞ!」
と俺の手を握って引っ張ってきたので、それを見た小学生たちが、
「ひゅーひゅー」
と言い出して、もうガキ過ぎてめっちゃ不快だった。
手を繋いだだけでなんなん? というか手を繋ぐなよ、サッカー選手の入場かよ。あのサッカー選手の入場なんなんだよ、嫌いだわ。
いやついサッカー選手の入場へ心の中で悪態をついてしまった。あれは別に良い。俺に関係無いから。
俺は征喜に促され、征喜は小学生に促され、そのまま歩いていき、その事件が起きているという場所に着いた。
「ヤノダンゴ探偵さん! ここの池に薄気味悪い現象が起きているんです!」
一緒についてきていた小学生の一人がそう言った。
というかヤノダンゴ探偵をこの世代にまで浸透さすな。
ヤノダンゴ探偵をとどろかせるなよ。
征喜は小首を傾げながら、
「風流な池じゃないか、ここにどんな現象があるんだ?」
と言ったんだけども、正直こ汚い池だった。
水はめちゃくちゃ濁っているし、なんというか死んでいる池といった感じで魚の類はいない。
ただの雨水が溜まりやすい場所って感じで、とにかく淀んでいて、若干臭かった。
小学生の一人は首のあたりを掻きながら、こう言った。
「僕たちはここでアメンボの観察をすることが好きなのですが、最近この池の中に土が積まれるようになっていて。でも土砂崩れとか無さそうな地形ですし、ということは自然に土が積まれているわけじゃなくて誰かがやっているんだと思うんです。だから一体何者がこんなことをしているのかなと思っているんです!」
アメンボの観察か。
まあ直径十メートルくらいの池なら、アメンボも住みやすいか。
それにしても小学生って本当虫好きだよな、俺は嫌だよ、可愛い猫が良い。それも映像ね。映像の猫が良い。実物は実物で怖い。
征喜は小学生から土が積まれている場所を指差してもらって、眺めている。
俺も見ると、確かに土が置かれているように見える。というかこの感じだと、池自体かなり浅いみたいだ。
何か毎日作業すれば、土で埋めれるような池だなぁ。
さっきとは別の小学生が肘のあたりを掻きながら、
「ここは僕たちのアメンボ広場なんです! なんとか犯人を見つけ出して止めてください!」
そう言ってから、頭を下げた小学生に合わせて、みんな頭をさげ始めた。
ダラダラと頭さげが伝播していったみたいな感じのさげ方で、小学生だなぁ、と思ってしまった。
さて、犯人を突き止めて、やめさせるということか。
こんなこと探偵の真似事をしているのも小学生みたいだなと思っていると、征喜が、
「まずは聞き込み捜査だ!」
と言って、池の近くにある家へ向かって歩き出した。
その後ろを小学生たちもついていって、こんなんが玄関に立っていたら嫌だろうなぁ、と思った。
俺は後ろから見ることにして、征喜はチャイムを鳴らし、ちょっと待ち、住民が出てきたところで喋り始めたみたいだ。
征喜の声は大きいので、何を言っているかは分かる。
「本当に見ませんでしたか!」
とか言ってる。
どうやら目撃情報は無いみたいだ。
住民は何だか嫌そうな顔をしていた。俺の鏡かよと思った。
まあ俺の鏡にしてはおじさんだったけども。でもそんな年上でも無かった感じ。主夫なのかな?
俺は住民の敷地には入らなかったけども、庭の中はちょっとのぞかせてもらった。
家庭菜園を綺麗にやっていて、中学校の畑のような雑さは無かった。
そもそも中学校の畑は雑過ぎるんだよな、課外授業の一環でやっているから誰も詳しい人いないし。
だからあんな事件っぽいことが起きてしまうんだよ。
ここの人を特別な先生として招き入れればいいのに。そんなことを思っていた。
その後も、征喜と小学生たちは池に近い家から順に聞き込み捜査をしていた。
まあどんどん池から離れていくので、このまま帰ればいいのに、と思っていた。
俺はついていかず池に残って、積まれたという土の様子をよく観察する。
何か小石? 小石というかちょっと見たこと無い感じの石が入っている土だなとは思った。
いや石じゃないのか? でも触れたくはないなぁ、汚い池の中に入っている土だし。
岸(と言うほどでもないけども)からギリ離れた場所に土が盛られているので、手が届かないし、まあ届いたとしてもやっぱり触れないけども。
というか、そうか、大体犯人が分かったぞ、完全特定まではいかないけども、どのあたりの人ということは分かった。
さて、と思ったところで、聞いた事のある声が後ろからした。
「えっ? キムチくんですか?」
振り返るとそこにはエリーちゃんがいた。
どうしたんだろうと思っていると、エリーちゃんはこう言った。
「えっ、えっ、ちょっとお散歩していたらキムチくんがこんなところにいて。どうしたんですか?」
「あぁ、これはね、征喜がまた事件とかでその解決に来ていたんだ」
……から、俺は喋り出して、事件の概要と、その解決まで全部言った。暇だから。
するとエリーちゃんは何だか嬉しそうに飛び跳ねて、
「えぇー! もう! すごい! さすがキムチくん! すごい推理です!」
と言ってくれて、何かめっちゃテンションが上がった。
エリーちゃんとはバイバイして、ちょっと経ったところで、征喜と小学生はトボトボと肩を落として、こちらへ戻ってきた。
収穫ナシか、まあ無いだろうな、こんな大勢で押し掛けて目撃者情報なんて言い出さないだろう。
「おい、征喜、大体分かったぞ。まずはこの事件を起こした理由からだ」
すると征喜は飛び上がるように背筋を伸ばして、
「本当か! キムチ! その理由が分かれば犯人も芋づる式だ!」
「起こした理由は単純にこの池を埋め立てたいんだよ」
小学生たちは一斉に、
「何でそんなことをー」
「どういうことだよー」
「僕たちへのイヤガラセ?」
とか言い出した。
そういうリアクションになることは分かっているけども、これを言えばまあ納得してくれるかな。
「実はこういう水場には蚊が住み着くことが多くて。蚊の繁殖地になると、近くに住んでいる人は蚊に苦しむことになるんだ」
すると小学生たちはビックリしてから、
「だから体が痒かったんだ!」
「蚊がいるってことっ? 何か嫌だぁ!」
と口々に言い始めた。
俺は最後に、
「だから犯人はこの近くに住んでいる人たちの誰かだね、それをみんなで寄ってたかって目撃者を聞きに行ったら誰も言わないよ」
「そっかぁ……」
と小学生たちは残念そうに肩を落とした。
その中で一人の小学生が、
「じゃあ埋めさせるのやめさせるぞ!」
と言ったので、俺は諭すように、
「いや、ここはもう埋めたほうがいい。そもそも死んでいる池だし、無いほうが景観的にも良いと思う。アメンボは雨が降った時に見るだけでいいんじゃないかな。ここだと蚊もいっぱいだよ」
「蚊かぁ……」
「蚊は、嫌だなぁ……」
と小学生たちがしょげながら口々にそう言った。
征喜はうんうん頷きながら、
「じゃあここはヤノダンゴ探偵として、解決しないといけないな」
いや、
「解決しただろ」
征喜は手を広げて、論じるように、
「そうじゃない! この池をボクとキムチが責任もって埋めるんだよ! 埋めるとなれば周辺の住民が手伝ってくれるはず! 小学生たちは帰るんだ!」
すると小学生たちはゆっくりと挙手しながら、
「ううん、僕たちも手伝う」
「そうだよね、蚊はいないほうがいいもんね」
征喜は拳を突き上げて、
「じゃあ埋め立て作戦開始だ!」
と言ったところで、俺は思っていることを言うことにした。
「今から埋め立てようにも土が足りないし、大変だから、この水が近くの小川に流れ込みやすいように削っていこうか。まず道具を近くの住民から借りてこよう」
俺は征喜と小学生たちには待ってもらって、最初に征喜たちが入っていった家に行った。
そこで家庭菜園道具であるスコップなどを貸してもらった。
その時に俺はそこの住民にこう言った。
「池に土を撒いたのは貴方ですね、あの撒いた土は家庭菜園で使い終えた土ですよね? 多分プランターとかで野菜を育て終えた土を使っているんですよね?」
すると住民の人は申し訳無さそうに、
「分かってしまいましたか、すみません、蚊が嫌なもんで。あそこの土地の所有者、もうずっとこの地区に来ていないので、いいかなと思ってしまい」
俺は少し小声で、
「俺は誰にも言いませんよ。ここからは子供に任せてください。土地の所有者が来たとしても、子供が遊んでいったと言えば大丈夫ですから」
住民の人は明るい声になり、
「じゃあ代わりに池をどうにかしてくださるんですね、ありがとうございます」
俺は頭をさげながら、
「いや良いんですよ、俺たち暇なんで」
俺と征喜、小学生たちはうまく池の水が近くの小川へ流れるようにした。
するとぐんぐん水かさが減っていき、やっぱりたいした水源の無い、腐った池だったようだ。
最後に征喜が小学生たちへ、
「困ったことがあればヤノダンゴ探偵をよろしくぅ!」
と言って通学用バッグから飴を出して配っていた。
何だろう、この便利屋感とは思った。



