君の世界に入りたい

「綾人くん?!」
「…あ、ごめ…」
「無理に話さなくていいよ、とりあえず深呼吸」

綾人くんじゃないみたいだ。いつも優しくて、僕より強くてかっこよくて、僕の横で静かに僕を支えてくれていた綾人くんが今は僕に倒れかかって息の吸い方すらもわからなくなってしまっている。

「渡会、見上のこと頼んでもいいか?俺はとりあえずお父さんに伝えてくる」
「うん!」

綾人くんの様子を見るにきっと僕の後ろには今綾人くんの最も会いたくなかった人がいるんだろう。僕が一人で対処出来るかな…いや、僕がやるんだ。これまでたくさん隣で支えてきてくれた綾人くんみたいに、僕も綾人くんのために。

「綾人じゃん、てか何?俺の顔見て何で吐きそうになってんの?」
「どちらさまですか?」

後ろを振り向くと綾人くんと同じくらいの身長をした、目つきの悪い男が立っていた。横には小柄な女の子を連れて。

「綾人の同級生、君こそどちら様?」
「同級生です、見ての通り今の綾人くんはあなたと話せる状況ではないので、離れてもらえますか?」