君の世界に入りたい



きれいな山だなあ。空気が澄んでる、今日はカメラを持ってきてよかった。

「じゃあ早速登るぞー、ちゃんと着いてこいよー!」

下山してきた高校生とすれ違う時、見覚えのある顔を目にした。一生会いたくないと思っていたあの顔を、よりにもよってこの場所で。

「あれー?真白じゃん高校通ってたんだ、あそうだこの辺宿1つしかねーから同じとこだよな?夜になったら庭に来いよ、もちろん1人でな」

どうしよう…苦しい。深い海に沈んでいくようなそんな感覚。

「真白、知り合い?」

だめだ、今は綾人くんの前なんだから耐えないと。汚い僕は見せられない。

「…ま、まあそんなとこ」

僕の顔を見た綾人くんはいきなり肩を掴んだ。

「何言われた」

綾人くんからは聞いたこともないような低い声だった。心配してくれたのかと思うと少し嬉しいけれど、大丈夫、まだ耐えられる。

「…な、何も!久しぶりって言われただけ」
「嘘言え、そんな青白い顔して」
「大丈夫!大丈夫だから!」