君の世界に入りたい

お兄ちゃんの家に行くのに誘ったのは休日の電車に1人で乗るのが怖かったから。あの時の同級生に会うのが怖かったから、そんなわがままな理由だったけれど見上くんは嫌な顔ひとつせずに一緒に行こうと言ってくれた。
お家に誘われたときは少し悩んだけれどこんなにも見上くんと仲良くなれるチャンスはない!と思って行くことにした。

お家にお邪魔すると思っていた通りの温かい家族が迎えてくれた。
部屋に入ると壁一面に本棚があってびっしりと本が並んでいるロマンチストな彼らしい部屋だった。部屋を一周していると机の上に月曜日提出の林間合宿の承諾書が置いてあっていつもきっちり提出物を出す見上くんにしては珍しいなと思った。

「あれ見上くんも承諾書まだ出してなかったの?」

僕の前でいつも優しく楽しそうに笑う見上くんは僕の憧れで、彼はこういうイベント好きなのかなって思っていたのに今目の前で僕の質問を聞いた見上くんの顔は今まで一度も見せたことのない顔をしていた。

少ししてハッとした見上くんは
「行くか迷ってたから、でも行くことにしたから後で母さんに渡さないと」
と焦りながら早口で話していた。