君の世界に入りたい

高校の門まで来ると桜舞う中記念写真を撮る家族で溢れていた。

「…小説の中の世界みたいだ」

笑い合う家族の姿や、舞っている桜があまりにも綺麗で見惚れてしまった。受験という壁を越えた先にはこんなにも綺麗な世界があったんだな。

「何か言ったか?」
「ううん」
「俺たちも写真を撮っておこう!母さんに見せるために!」
「うん」

スマホのカメラを開き、内カメにし、父さんと肩を組み写真を撮った。

写真を撮り終えると父さんは自分の頭上と俺の頭上に交互に手を置きながら少し難しい顔をした。

「綾人また身長伸びたか?父さんより少し高くなってないか?」
「そうかな?」

あまり他人と身長を比べるということをしてこなかったからか、自分が他人よりも身長が高いという自覚がなかった。

「あぁ、お前はどこまで大きくなるんだろうなあ」
「それは分からないけど、俺はあの桜の木みたく大きくなってみたい」

自分の身長のことも未来のこともまだ何もわからないから目に入った一番大きくて綺麗なものをあげておいた。
驚いたように目を開いた父さんは優しく笑って

「そうかあ!それは大きな夢だな」と言ってくれた。