君の世界に入りたい

「え、どうした?酔ったか?」
「あ!違くて!僕うまく挨拶とかできるかな、って」
「なんだ、そんな事…挨拶なんてする間も与えてくれないと思うよ」
「え?」
「みんな喜んでたから、俺これまで家に呼べるような友達出来たことなかったから父さんなんて泣いちゃうくらい喜んでたんだから」
「…そうなんだ、見上くんとはタイプが違うんだね」
「みんな明るくて騒がしいよ、1歳もいるから…あ、赤ちゃん平気?」
「うん!!可愛くて好き」

電車に30分揺られ、駅でドーナツを買い、歩いて家まで向かう。家までの道のりもずっと渡会は上の空で、青白い顔をしていた。

「着いたよ、ここ」
「でっか!!!え、何これ!」
「父さんの事務所、法律家なんだ」
「え!そうだったんだ!」
「ほら、こっち」
「うん!」

ずっと上の空だった渡会の瞳に光が戻ってきた。
家に驚いただけで戻るのか…もっと早くに驚かせればよかった。

「ただいまー」
「お邪魔します!!」