君の世界に入りたい

「あ!ご家族に手土産買っていこうと思うんだけど、どんなのがいい?」
「手土産?気遣わなくていいよ」
「いや!持っていかないほうが気にしちゃうからお願い!」
「…ならクッキー、とか?」
「いいね!あ、本選んでる間って1人の方がよかったりする?」
「ううん、いつも1人だから楽しい」

いつもは1人で本屋さんに行って、行く前から決めていた本を手に取り、レジを済ませ足早に帰る。
今日は隣で「これ面白そう!」とか「これ読んだことある?」とか本屋さんにちょうどいい音量で話しかけてくれる友達と一緒で少し楽しい。

こういうのも、悪くないな。

その後小説を1冊買って電車に乗った。

手土産は家の最寄り駅にドーナツ屋さんが入っていたのを思い出したからそこで買えばいいのではないかと提案した。

「楽しかった!一緒に来てくれてありがとね」
「俺の方こそ、渡会が誘ってくれなきゃ多分行かなかったと思う」
「大げさだなあ」

思い出話をして優しく微笑んだかと思えばいきなり顔を真っ青にした。