君の世界に入りたい

「綾人ー行くぞ」
「うん」

俺の高校の入学式と妹の結依の中学の入学式が被ってしまったため、それぞれ俺の方には父さんが結依の方には母さんが行くことになった。

入学式といえば一般的に親のスーツ姿が見られる数少ないイベントなのだろうけど、父さんのスーツ姿は嫌というほど見てきているから何も珍しいものではなかった。

今の家が建ったのは俺が生まれるより少し前だけれどいつか子供が出来た時にすぐそばで支えられるようにと父さんが家の敷地内に事務所を建てた。敷地内とはいえど玄関と事務所の入り口にはそれなりの距離があって朝はゆっくり事務所に向かって歩き、昼はゆっくり家まで帰ってきて昼を済ませゆっくり事務所に向かって歩き、帰りは走って家まで帰ってくる。そんな父さんの姿を小さい頃はリビング横の客間で遊びながら、今は部屋で読書をしながら眺めている。

そして今日は横で眺めている。