君の世界に入りたい

父さんも母さんも気づいてあげられなくてごめんねと俺を大事に大事に抱きしめてくれ、俺はどうしてもっと早く相談しなかったんだろう、どうして父さんと母さんを泣かせてしまったのだろう、としばらく悩んでいた。

「承諾書の提出期限はいつ?」
「…来週の月曜日」
「そう、ならそれまで思い切り悩みなさい!あでも一応担任の先生に行かない場合成績のカバーが出来るかは確認しておきなさいよ?」
「…うん、ごめんね優柔不断で」
「知ってた?お父さんもすっごく優柔不断なのよ?」
「…そうなんだ」

15年も父さんと生きてきて優柔不断なところなんて見たことがなかった。毎朝着替えはすぐに終わらせていてネクタイで悩んでるところなんて見たことがなかったし、買い物に行ってもテキパキといるものだけ買っているって感じだった。

「渡会くんのお兄さんの家には土曜日に行くの?日曜日?」
「決めてなかった、連絡してみる」

渡会の撮ってくれたあの写真がホーム画面のスマホを開き渡会に連絡を入れた。

『週末行くって言ってたけど、土曜日?日曜日?』
『兄さんもどっちでも大丈夫だって言ってるから見上くんの予定に合わせるよ!』

連絡を入れて1分も経たずに返信が来て少し驚いた。

父さんと母さんがどっちも忙しいのは土曜日だけど…日曜日にしたら下2人の宿題見てやれるか分かんないしな…

「俺に合わせる、ってどっちのがいい?」
「あらそうなの?じゃあ土曜日に行って渡会くん泊まらせてあげなよ!一人暮らしって言ってたよね?」