君の世界に入りたい

「お兄さんの家は遠いの?」
「そんなにかな、電車で1時間くらい」
「そうなんだ」

初めて一緒に帰ったあの日からなんとなくの流れで毎日駅まで一緒に歩くようになった。

「あそうだ!今度の週末行く予定だから一緒に行かない?」

いきなりの渡会からの提案に驚きが隠せなかった。

一緒に行く…?渡会と渡会のお兄さんの家に…?なんで?

「…何で?」
「もちろん予定とか交通費の問題とかあるだろうし、無理なら無理でいいんだけどお兄ちゃんの家の近くに大きな書店があるからどうかなって…ここなんだけど」

そう言って渡会が見せてきたスマホの画面に載っていた書店は俺がずっと行きたいと思っていたところだった。あまりにも大きいから1人で行くには気が引けて中々行けずもう忘れかけていた。

「行く」
「本当!?1人で電車に乗るの心細かったからよかった」

1人で電車に乗るのが心細かったというのが本心なのだろう。まあ俺にとってもメリットしかないからいいんだけど。

「あでもこの方向なら俺が途中から乗る形になるかも」

書店への行き方を調べてみると学校の最寄り駅から俺の家の方向に1時間と書いてあった。

「え!」
「俺の家あっち方面だから、乗り方とか分かんなかったら電話してよ」
「…わかった」

渡会は不安そうだったけれど電車の時間が迫っていたため、別れを告げて急いで駅まで走った。