君の世界に入りたい

県内で一番頭のいいところを選んだせいか過去問は難しい問題が多かったけれど、新しい知識を得ることは苦ではなかったから受験勉強はむしろ楽しかった。

そして受験に受かり、入学式の日になってしまった。

いつも通りの時間に起き、寝癖のついた頭で母さんが作ってくれたご飯を食べ、洗面所で歯を磨き、寝癖を直し、部屋に戻り高校生はすぐに大きくなるからと少し大きく作られた制服に袖を通す。
すべての準備が終わると両親の準備が終わるまでの少しの時間で部屋の壁一面にある本棚から好きな本を1冊選び読書をする。

初めて本を読んだのは文字が読めるようになった4歳の頃、それが初めて他者の世界に入った瞬間だった。自分から見える世界だけで生きてきた俺にとって初めて入った他者の世界はとても綺麗で子供ながらにすごく感動したのを覚えている。今思えばどうしてあんな絵本であんなに感動したのかはよく分からないけれどあの頃の俺にとってそれだけすごいことだったのだろう。