君の世界に入りたい

朝、あの写真を見たときから考えていた。

渡会の寂しさを、苦しさを少しだけでも和らげてあげたいと。
勢いで誘ってしまったけれど大丈夫だっただろうか、もし実は両親と不仲なんだとか言われたら…

黙り込んだ渡会は少ししてすごい勢いで顔をあげ

「ナイスアイデア!!昨日両親に制服姿の写真を送ってほしいって頼まれたんだけど、どうやって撮ろうか悩んでたんだ!それに見上くんも写ってくれるなんて…!両親泣いちゃうかも」

今までに聞いたことのない声量を出す渡会の顔からは嬉しさが滲み出ていた。
両親と離れて暮らしていると聞いたからもっと深い事情があるかと思ったけれどそうでもないみたいだな。

スマホを開いてカメラを起動した渡会は少し悩んで俺にスマホを渡してきた。

「僕じゃ身長足りないから」

不服そうに頬を膨らませて言う渡会の姿をまた綺麗だと思ってしまった。

渡会からスマホを受け取り、思い切り肩を寄せ後ろの桜なんてお構いなしに2人の写真を撮った。

渡会は写真を撮り終えると嬉しそうにその写真をしばらく眺めていた。

「ありがとう!送るね!!」
「うん、ありがとう」

帰り道は今日のテストのこととか、明日の時間割のこととかごく普通の男子高校生らしい会話をして別れた。