元恋人と、今日から同僚です

 電車の中。
 窓に流れる景色はいつもより暗かった。

「プロジェクト、大変そうだね」
「うん。色々トラブってて」
「トラブル?」

 朝倉に、今の状況を話した。
 システム会社との調整、メンバーの離脱、予算の問題。
 愚痴っぽくなってしまったけど、朝倉は黙って聞いてくれた。

「大変だな」
「うん。リーダーって、こんなに大変だとは思わなかった」
「でも、真帆なら大丈夫」
「……どうして」
「根拠はないけど、そう思う」

 朝倉が、笑った。

「前に真帆が言ってたでしょ。『根拠はないけど、大丈夫な気がする』」
「……私の言葉、そんなところで使わないでよ」
「ははは」

 つられて、笑ってしまった。
 疲れている心が、少し楽になった。

「俺、真帆の味方だから。何かあったら、いつでも言って」
「……ありがとう」
「頑張って。でも、無理はしないで。手伝うから」

 その言葉が、五年前と同じなのに、違って聞こえた。
 五年前は、否定されている気がした。
 今は、応援されている気がする。

 言葉は同じ。でも、受け取り方が変わった。