元恋人と、今日から同僚です

 夕方、仕事帰りの公園。

 朝倉に藤堂さんとの話を伝えた。

「プロジェクトリーダー? 大抜擢だ」
「うん。嬉しいんだけど……」
「けど?」
「忙しくなりそうで」

 朝倉が、少し考えてから言った。

「それは、しょうがない。大仕事だから」
「でも、朝倉との時間が——」
「俺のことは、気にしないでいいよ」

 朝倉が、真剣な顔で言った。

「真帆にとって、大事なチャンスでしょ?ちゃんとやろう」
「でも——」

 朝倉の声が、少し低くなった。

「同じ失敗は、したくない。今度こそ、真帆の仕事を応援したい」
「……」
「だから、遠慮しないで。俺は、待ってるから」

 待つ。
 また、その言葉だ。

「でも、待ってるだけじゃダメって、自分で言ってたじゃない」
「待つのと、応援するのは違います」

 朝倉が、笑った。

「真帆が頑張ってる時、俺も頑張る。それが、応援ってことです」
「……ありがとう」
「同じ職場にいるんだし。俺も何か手伝えると思う」
「うん。頼りにしてる」

 その言葉が、嬉しかった。
 五年前とは、違う。朝倉は、私の仕事を否定しない。応援してくれる。

 そして、頼もしい同僚でもある。





 土曜日、一人で、ずっと考えていた。
 新しいプロジェクト。リーダーとしての責任。忙しい日々。
 朝倉との関係。付き合うかどうかの決断。

 両立できるだろうか。
 仕事も、恋愛も、どっちも大事にできるだろうか。

 五年前は、できなかった。
 仕事を優先して、朝倉をないがしろにした。結果、別れることになった。
 
 また同じことになるのが怖い。
 でも、逃げたくなかった。