夕方、仕事が一段落してから、朝倉を呼び出した。
給湯室で、二人きりになる。
「さっきは、ごめん」
「いえ、俺が余計なことを——」
「違う。私が悪いの」
深呼吸して、正直に言った。
「会議中、朝倉のことが気になって集中できなかった」
「……え」
「朝倉が見てるって思ったら、頭が真っ白になって、それで……」
朝倉が、目を丸くした。
それから、少しだけ笑った。
「……俺のせいで、集中できなかったんですか?」
「笑わないでよ。本気で焦ったんだから」
「すみません。でも、なんか嬉しいというか」
「嬉しくないよ。私は困ってるの」
朝倉が、笑いを堪えながら言った。
「俺も、実は同じなんです」
「同じ?」
「会議中も、仕事中も。気づいたら、真帆のことを目で追ってる」
その言葉に、顔が熱くなった。
「お互い様、ですね」
「……そうみたいね」
気まずいけど、でも、なんか嬉しい。
お互いに、相手のことが気になって仕方がない。
それは、悪いことじゃないはずだ。
「でも、仕事に影響が出るのは、まずいですね」
「うん。プロとして、あり得ない」
「どうしましょう?」
朝倉が、真剣な顔で聞いてきた。
私も、考える。
「……慣れるしかないのかな」
「慣れる?」
「朝倉が近くにいることに慣れる。意識しすぎないようにする」
「それ、できます?」
「わからない。でも、努力するしかない」
朝倉が、少し考えてから言った。
「俺も、意識しすぎないようにします。仕事の時は、仕事に集中する」
「うん」
「でも、仕事が終わったら——」
朝倉が、私を見た。
「プライベートでは、ちゃんと意識してもいいですか」
「……何それ」
「仕事とプライベートを、分けるってことです。
仕事中は同僚として。仕事が終わったら、好きな人として」
好きな人。
その言葉に、心臓が跳ねた。
「……そうだね。そうしよう」
「じゃあ、今は仕事中だから」
朝倉が、わざとらしく咳払いをした。
「結城さん、体調は大丈夫ですか。無理しないでくださいね」
「……ありがとうございます。朝倉さん」
なんだか、おかしくなって、二人で笑ってしまった。
馬鹿みたいだけど、こういうやり取りが楽しい。
給湯室で、二人きりになる。
「さっきは、ごめん」
「いえ、俺が余計なことを——」
「違う。私が悪いの」
深呼吸して、正直に言った。
「会議中、朝倉のことが気になって集中できなかった」
「……え」
「朝倉が見てるって思ったら、頭が真っ白になって、それで……」
朝倉が、目を丸くした。
それから、少しだけ笑った。
「……俺のせいで、集中できなかったんですか?」
「笑わないでよ。本気で焦ったんだから」
「すみません。でも、なんか嬉しいというか」
「嬉しくないよ。私は困ってるの」
朝倉が、笑いを堪えながら言った。
「俺も、実は同じなんです」
「同じ?」
「会議中も、仕事中も。気づいたら、真帆のことを目で追ってる」
その言葉に、顔が熱くなった。
「お互い様、ですね」
「……そうみたいね」
気まずいけど、でも、なんか嬉しい。
お互いに、相手のことが気になって仕方がない。
それは、悪いことじゃないはずだ。
「でも、仕事に影響が出るのは、まずいですね」
「うん。プロとして、あり得ない」
「どうしましょう?」
朝倉が、真剣な顔で聞いてきた。
私も、考える。
「……慣れるしかないのかな」
「慣れる?」
「朝倉が近くにいることに慣れる。意識しすぎないようにする」
「それ、できます?」
「わからない。でも、努力するしかない」
朝倉が、少し考えてから言った。
「俺も、意識しすぎないようにします。仕事の時は、仕事に集中する」
「うん」
「でも、仕事が終わったら——」
朝倉が、私を見た。
「プライベートでは、ちゃんと意識してもいいですか」
「……何それ」
「仕事とプライベートを、分けるってことです。
仕事中は同僚として。仕事が終わったら、好きな人として」
好きな人。
その言葉に、心臓が跳ねた。
「……そうだね。そうしよう」
「じゃあ、今は仕事中だから」
朝倉が、わざとらしく咳払いをした。
「結城さん、体調は大丈夫ですか。無理しないでくださいね」
「……ありがとうございます。朝倉さん」
なんだか、おかしくなって、二人で笑ってしまった。
馬鹿みたいだけど、こういうやり取りが楽しい。
