午後、仕事をしながら、宮本の言葉を考えていた。
朝倉は五年間もの間、私のことを想ってくれていた。
私はどうだろう。
正直、朝倉のことを考えなかったわけじゃない。
ふとした瞬間に思い出すことはあった。
でも、連絡を取ろうとはしなかった。会おうともしなかった。
逃げていた? そうだ。
朝倉と向き合うのが怖くて、忘れたふりをしていた。
定時過ぎ、朝倉が声をかけてきた。
「結城さん、今日、このあと時間ありますか?」
「……何?」
「少し、話したくて。土曜日の続きというか」
続き。
何の続きだろう。
「……いいよ」
◇
会社の近くの公園。
前に二人で話した場所だ。朝倉が「ちゃんと話したい」と言って、私が断った場所。
ベンチに並んで座る。
空がオレンジ色に染まっている。
「土曜日、ありがとうございました」
朝倉が、言った。
「正直に話してくれて。気持ちを伝えてくれて」
「こちらこそ」
「俺、ホント嬉しかった。真帆が、俺のことを好きだって言ってくれて」
朝倉の横顔を見る。
夕陽に照らされて、穏やかな表情をしている。
「でも、俺も反省したことがあって」
「反省?」
「そう。五年前のこと」
朝倉が、少し間を置いた。
「俺、『待つ』って言葉を、都合よく使ってたんだと思う」
「……どういう意味?」
「真帆が忙しい時、俺は『待ってる』って言って、何もしなかった。待ってれば、いつか真帆が振り向いてくれると思ってた」
朝倉が、自嘲気味に笑った。
「でも、それは違った。待ってるだけじゃ、何も変わらなかった。真帆はどんどん仕事に没頭して、俺から離れていって」
「……」
「俺は、待ってると言って、何もしなかった。それが、ダメだったんだと思う」
朝倉の言葉が、胸に響いた。
朝倉は五年間もの間、私のことを想ってくれていた。
私はどうだろう。
正直、朝倉のことを考えなかったわけじゃない。
ふとした瞬間に思い出すことはあった。
でも、連絡を取ろうとはしなかった。会おうともしなかった。
逃げていた? そうだ。
朝倉と向き合うのが怖くて、忘れたふりをしていた。
定時過ぎ、朝倉が声をかけてきた。
「結城さん、今日、このあと時間ありますか?」
「……何?」
「少し、話したくて。土曜日の続きというか」
続き。
何の続きだろう。
「……いいよ」
◇
会社の近くの公園。
前に二人で話した場所だ。朝倉が「ちゃんと話したい」と言って、私が断った場所。
ベンチに並んで座る。
空がオレンジ色に染まっている。
「土曜日、ありがとうございました」
朝倉が、言った。
「正直に話してくれて。気持ちを伝えてくれて」
「こちらこそ」
「俺、ホント嬉しかった。真帆が、俺のことを好きだって言ってくれて」
朝倉の横顔を見る。
夕陽に照らされて、穏やかな表情をしている。
「でも、俺も反省したことがあって」
「反省?」
「そう。五年前のこと」
朝倉が、少し間を置いた。
「俺、『待つ』って言葉を、都合よく使ってたんだと思う」
「……どういう意味?」
「真帆が忙しい時、俺は『待ってる』って言って、何もしなかった。待ってれば、いつか真帆が振り向いてくれると思ってた」
朝倉が、自嘲気味に笑った。
「でも、それは違った。待ってるだけじゃ、何も変わらなかった。真帆はどんどん仕事に没頭して、俺から離れていって」
「……」
「俺は、待ってると言って、何もしなかった。それが、ダメだったんだと思う」
朝倉の言葉が、胸に響いた。
