コーヒーを啜りながら、話を続けた。
五年前のこと。当時の気持ち。すれ違いの理由。
今まで言えなかったことを、少しずつ言葉にしていく。
「私、逃げてたんだと思う」
ふと、そう言った。
「逃げてた?」
「うん。朝倉と向き合うのが怖くて。本音を言うのが怖くて。だから、仕事を言い訳にして、距離を取った」
五年前だけじゃない。
今も、同じことをしていた。
「先週、距離を置きたいって言ったのも、逃げてた。朝倉が本気で告白してくれたのに、受け止められなくて、また、逃げた」
朝倉が、黙って聞いている。
その視線に責めるような色はなかった。
「ずっと、朝倉のせいにしてた。理解してくれないって。応援してくれないって。でも、本当は——」
声が、震えた。
「本当は、向き合うのが怖くて、自分の気持ちを言葉にするのが怖くて。だから、朝倉のせいにした。私は逃げてただけ……」
涙が、滲んできた。
堪えようとしたけど、無理だった。
「ごめん。本当に、ごめん」
涙声で、謝った。
五年分の後悔が、溢れ出してくる。
朝倉が、テーブルの上でティッシュを差し出してくれた。
受け取って、目元を押さえる。
「真帆」
朝倉の声が、柔らかい。
「俺は、責めてない。責めるつもりもない」
「でも——」
「俺も、同じだから」
朝倉が、少し間を置いて言った。
「俺も、逃げてた。真帆が離れていくのが怖くて、でも追いかける勇気がなくて。『価値観が違う』って言葉で、自分を納得させた」
朝倉の目も、潤んでいた。
「あの時、もっとちゃんと話し合えばよかった。真帆が何を考えてるのか、何に苦しんでるのか、聞けばよかった。でも、できなかった」
「……」
「だから、真帆だけが悪いわけじゃない」
その言葉に、涙が止まらなくなった。
カフェの中で泣くなんて、恥ずかしい。でも、止められなかった。
陽が傾き、オレンジ色の光が朝倉を包んでいた。
彼は、何も言わず、静かに待っていてくれている。
五年前のこと。当時の気持ち。すれ違いの理由。
今まで言えなかったことを、少しずつ言葉にしていく。
「私、逃げてたんだと思う」
ふと、そう言った。
「逃げてた?」
「うん。朝倉と向き合うのが怖くて。本音を言うのが怖くて。だから、仕事を言い訳にして、距離を取った」
五年前だけじゃない。
今も、同じことをしていた。
「先週、距離を置きたいって言ったのも、逃げてた。朝倉が本気で告白してくれたのに、受け止められなくて、また、逃げた」
朝倉が、黙って聞いている。
その視線に責めるような色はなかった。
「ずっと、朝倉のせいにしてた。理解してくれないって。応援してくれないって。でも、本当は——」
声が、震えた。
「本当は、向き合うのが怖くて、自分の気持ちを言葉にするのが怖くて。だから、朝倉のせいにした。私は逃げてただけ……」
涙が、滲んできた。
堪えようとしたけど、無理だった。
「ごめん。本当に、ごめん」
涙声で、謝った。
五年分の後悔が、溢れ出してくる。
朝倉が、テーブルの上でティッシュを差し出してくれた。
受け取って、目元を押さえる。
「真帆」
朝倉の声が、柔らかい。
「俺は、責めてない。責めるつもりもない」
「でも——」
「俺も、同じだから」
朝倉が、少し間を置いて言った。
「俺も、逃げてた。真帆が離れていくのが怖くて、でも追いかける勇気がなくて。『価値観が違う』って言葉で、自分を納得させた」
朝倉の目も、潤んでいた。
「あの時、もっとちゃんと話し合えばよかった。真帆が何を考えてるのか、何に苦しんでるのか、聞けばよかった。でも、できなかった」
「……」
「だから、真帆だけが悪いわけじゃない」
その言葉に、涙が止まらなくなった。
カフェの中で泣くなんて、恥ずかしい。でも、止められなかった。
陽が傾き、オレンジ色の光が朝倉を包んでいた。
彼は、何も言わず、静かに待っていてくれている。
