土曜日の昼下がり。
駅前のカフェで、朝倉と会った。
昨日の夜、LINEを送った。「話したいことがある」と。
朝倉は、すぐに返事をくれた。そして、今に至る。
窓際の席。外の景色が見える。五月の陽射しが眩しい。
でも、私の心は晴れていなかった。緊張で、胃が締め付けられる。
「……何から、話せばいいかな」
私が言うと、朝倉は静かに答えた。
「ゆっくりでいいですよ」
待つと言った、あの言葉通り。
朝倉は、私のペースに合わせてくれる。
深呼吸して、話し始めた。
「昨日、美咲さんに会った」
「……姉さんに?」
朝倉が、少し驚いた顔をした。
「うん。昨日の帰りに連絡が来て。五年前のこと、色々聞いた」
「……そうですか」
朝倉の表情が、少し曇った。
「朝倉が、ずっと自分を責めてたって聞いた。私を追い詰めたって」
「……」
「私、知らなかった。朝倉がそんなふうに思ってたなんて」
朝倉が、視線を落とした。
「俺は、本当にそう思ってたんです。真帆が頑張ってる時に、邪魔をした。
俺のせいで、真帆が苦しんだ」
「違う」
私は、はっきり言った。
「朝倉は悪くない。私を心配してくれてただけでしょ。それを、私が勝手に否定されたと思い込んだ」
朝倉が、顔を上げる。
その目が、少し潤んでいるように見えた。
「美咲さんに言われて、気づいた。お互いに言葉が足りなかったって。すれ違ったって」
「……」
「私、朝倉の気持ちをわかろうとしなかった。
自分のことで精一杯で、それ以外、考えられなかった」
言葉にすると、自分の愚かさが改めて浮き彫りになる。
当時の私は、どれだけ自己中心的だったんだろう。
「だから、謝りたい。五年前、ちゃんと話し合わなかったこと。
朝倉の気持ちを聞かなかったこと。ごめんなさい」
頭を下げた。
テーブルに額が付きそうなくらい、深く。
「……顔を上げてください」
朝倉の声。
顔を上げると、朝倉は少しだけ笑っていた。
「俺も、同じです。真帆の気持ちを聞かなかった。
自分の気持ちを押し付けてしまった。お互い様ですよ」
「でも」
「お互い様」
朝倉が、繰り返した。
「五年前は、二人とも若かった。言葉が足りなかった。それだけのことです」
その言葉に、少しだけ救われた気がした。
駅前のカフェで、朝倉と会った。
昨日の夜、LINEを送った。「話したいことがある」と。
朝倉は、すぐに返事をくれた。そして、今に至る。
窓際の席。外の景色が見える。五月の陽射しが眩しい。
でも、私の心は晴れていなかった。緊張で、胃が締め付けられる。
「……何から、話せばいいかな」
私が言うと、朝倉は静かに答えた。
「ゆっくりでいいですよ」
待つと言った、あの言葉通り。
朝倉は、私のペースに合わせてくれる。
深呼吸して、話し始めた。
「昨日、美咲さんに会った」
「……姉さんに?」
朝倉が、少し驚いた顔をした。
「うん。昨日の帰りに連絡が来て。五年前のこと、色々聞いた」
「……そうですか」
朝倉の表情が、少し曇った。
「朝倉が、ずっと自分を責めてたって聞いた。私を追い詰めたって」
「……」
「私、知らなかった。朝倉がそんなふうに思ってたなんて」
朝倉が、視線を落とした。
「俺は、本当にそう思ってたんです。真帆が頑張ってる時に、邪魔をした。
俺のせいで、真帆が苦しんだ」
「違う」
私は、はっきり言った。
「朝倉は悪くない。私を心配してくれてただけでしょ。それを、私が勝手に否定されたと思い込んだ」
朝倉が、顔を上げる。
その目が、少し潤んでいるように見えた。
「美咲さんに言われて、気づいた。お互いに言葉が足りなかったって。すれ違ったって」
「……」
「私、朝倉の気持ちをわかろうとしなかった。
自分のことで精一杯で、それ以外、考えられなかった」
言葉にすると、自分の愚かさが改めて浮き彫りになる。
当時の私は、どれだけ自己中心的だったんだろう。
「だから、謝りたい。五年前、ちゃんと話し合わなかったこと。
朝倉の気持ちを聞かなかったこと。ごめんなさい」
頭を下げた。
テーブルに額が付きそうなくらい、深く。
「……顔を上げてください」
朝倉の声。
顔を上げると、朝倉は少しだけ笑っていた。
「俺も、同じです。真帆の気持ちを聞かなかった。
自分の気持ちを押し付けてしまった。お互い様ですよ」
「でも」
「お互い様」
朝倉が、繰り返した。
「五年前は、二人とも若かった。言葉が足りなかった。それだけのことです」
その言葉に、少しだけ救われた気がした。
