「ごめんね、急に呼び出して、こんな話をして」
美咲さんが、申し訳なさそうに言った。
「恒一が同じ部署になったって聞いてたから気になってて」
「……どうして、今、この話を?」
「恒一がね、最近また落ち込んでるから」
また。
その言葉に、胸がざわついた。
「何があったかは知らないけど、きっと真帆ちゃんのことでしょ?
姉としては、弟の幸せを願ってるから。おせっかいだけど、伝えておきたかったの」
「……」
「恒一は、ずっと真帆ちゃんのことを忘れられなかった。五年間、ずっと」
五年間。
朝倉も言っていた。忘れられなかったと。
「真帆ちゃんがどう思ってるかは、わからない。
でも、もし少しでも恒一のことを考えてるなら——
ちゃんと、話し合ってあげて欲しくて」
美咲さんが、私の手を握った。
温かい手。優しい目。
「言葉にしないと、伝わらないから。五年前みたいに、すれ違わないで」
「……はい」
それしか、言えなかった。
◇
美咲さんと別れて、家に帰る。
電車の中で、ずっと考えていた。
五年前の真実。
お互いの説明不足。言葉にしなかったから、すれ違った。
朝倉は、私を追い詰めたと思っていた。
私は、朝倉に否定されたと思っていた。
どちらも、誤解だった。本当は、お互いのことを想っていたのに。
言葉にしなかったから。
伝えなかったから。
すれ違って、別れることになった。
涙が出そうになった。
堪えるのに、必死だった。
そして、今まさに、同じことをしている。
距離を置きたいと言って、逃げている。言葉にしないで、黙っている。
五年前と、何も変わっていない。
変わらなきゃ。
このままじゃ、また同じ結果になる。
家に着いて、スマホを見る。
朝倉のLINEを開く。
指が震える。
何を送ればいいかわからない。でも、何か伝えなきゃいけない気がした。
長い時間、画面を見つめていた。
結局、一言だけ打った。
『話したいことがあります。明日、時間もらえますか』
送信ボタンを押す。
心臓が、うるさいくらいに鳴っていた。
すぐに、既読がついた。
返信が来る。
『はい。いつでも大丈夫です』
短い返事。
でも、その一言に、朝倉の気持ちが詰まっている気がした。
明日。ちゃんと、話そう。言葉にして伝えよう。
今度こそ。
美咲さんが、申し訳なさそうに言った。
「恒一が同じ部署になったって聞いてたから気になってて」
「……どうして、今、この話を?」
「恒一がね、最近また落ち込んでるから」
また。
その言葉に、胸がざわついた。
「何があったかは知らないけど、きっと真帆ちゃんのことでしょ?
姉としては、弟の幸せを願ってるから。おせっかいだけど、伝えておきたかったの」
「……」
「恒一は、ずっと真帆ちゃんのことを忘れられなかった。五年間、ずっと」
五年間。
朝倉も言っていた。忘れられなかったと。
「真帆ちゃんがどう思ってるかは、わからない。
でも、もし少しでも恒一のことを考えてるなら——
ちゃんと、話し合ってあげて欲しくて」
美咲さんが、私の手を握った。
温かい手。優しい目。
「言葉にしないと、伝わらないから。五年前みたいに、すれ違わないで」
「……はい」
それしか、言えなかった。
◇
美咲さんと別れて、家に帰る。
電車の中で、ずっと考えていた。
五年前の真実。
お互いの説明不足。言葉にしなかったから、すれ違った。
朝倉は、私を追い詰めたと思っていた。
私は、朝倉に否定されたと思っていた。
どちらも、誤解だった。本当は、お互いのことを想っていたのに。
言葉にしなかったから。
伝えなかったから。
すれ違って、別れることになった。
涙が出そうになった。
堪えるのに、必死だった。
そして、今まさに、同じことをしている。
距離を置きたいと言って、逃げている。言葉にしないで、黙っている。
五年前と、何も変わっていない。
変わらなきゃ。
このままじゃ、また同じ結果になる。
家に着いて、スマホを見る。
朝倉のLINEを開く。
指が震える。
何を送ればいいかわからない。でも、何か伝えなきゃいけない気がした。
長い時間、画面を見つめていた。
結局、一言だけ打った。
『話したいことがあります。明日、時間もらえますか』
送信ボタンを押す。
心臓が、うるさいくらいに鳴っていた。
すぐに、既読がついた。
返信が来る。
『はい。いつでも大丈夫です』
短い返事。
でも、その一言に、朝倉の気持ちが詰まっている気がした。
明日。ちゃんと、話そう。言葉にして伝えよう。
今度こそ。
