元恋人と、今日から同僚です

 九時過ぎ、やっと目処がついた。
 SNSの投稿は八件集まり、デザイナーからラフも上がってきた。
 ライターの追加原稿も、週末には届く予定。

 なんとかなりそうだった。

「お疲れ様でした」

 朝倉が声をかけてきた。

「お疲れ様。朝倉のおかげで助かった」
「いえ、俺は言われたことをやっただけです」

 謙遜している。
 SNSの案を出したのは朝倉なのに。

「あの案、本当によかった。ありがとう」
「……結城さんに褒められると、なんか照れますね」
「別に、事実を言ってるだけ」

 朝倉が、小さく笑った。
 その笑顔を見て、少しだけ救われた気持ちになった。

「帰りますか」
「うん」

 二人で帰り支度をして、編集部を出る。
 エレベーターで一階に降り、ビルの外へ。

 夜の空気が、冷たくて気持ちいい。
 深呼吸すると、少しだけ頭がすっきりした。

「今日は、ごめんね」

 歩きながら、私は言った。

「午前中、当たっちゃって。朝倉の言う通り、焦ってた」
「もう、気にしてないですよ」
「でも、嫌だったでしょ」

 朝倉が、少し考えてから言った。

「嫌というか……懐かしかった、ですかね」
「懐かしい?」
「昔も、こういうことあったなって」

 そう言われると、確かにそうだった。
 同じことの繰り返し。同じパターン。