元恋人と、今日から同僚です

 差し替え案が固まり、各所への連絡を始めた。
 デザイナーに構成変更を伝え、ライターに追加原稿を依頼する。
 SNSでの投稿を探し、投稿者に掲載許可を求めるDMを送る。

 バタバタしているうちに、あっという間に夕方になった。

「結城さん、許可取れた投稿、五件です」
「ありがとう。あと三件くらいほしいな」
「探してみます」

 朝倉が席に戻る。
 その背中を見ながら、午前中のことを思い出した。

 『追い詰められると、周りに当たる。俺はいつも、その矛先だった』

 朝倉の言葉が、胸に刺さったままだ。
 本当のことだから、否定できない。

 今日、五年前と同じことをしてしまった。
 なんで、同じことを繰り返すんだろう。
 わかっているのに。気をつけているつもりなのに。

 追い詰められると、制御できなくなる。

 朝倉は、許してくれた。
 でも、許されるからいいわけじゃない。
 そのうち、朝倉の心が折れる。また愛想を尽かされる。

 ——いや、今は恋人じゃない。

 ただの同僚だ。それ以上でも、それ以下でもない。
 愛想を尽かされたところで、仕事に支障がなければ問題ない。

 問題ないはず。

 なのに……