元恋人と、今日から同僚です

「俺も、悪かったと思ってる」
「朝倉が?」

「うん。言い方がまずかった。
 真帆の気持ちを考えないで、自分の心配ばかり押し付けてた」

 朝倉が、コーヒーを啜る。

「頑張ってる人に『休め』って言うのは、否定してるのと同じだって。あとから気づいた」
「……そんなこと」
「そんなことあるよ。真帆は、認めてほしかったんだろ。頑張ってるね、偉いねって」

 図星だった。
 当時の私は、認められたかった。
 仕事を頑張っている自分を、誰かに肯定してほしかった。
 それを、一番近くにいる朝倉に求めていた。

 なのに、返ってきたのは「休め」という言葉。
 それが否定に聞こえた。

「俺が、ちゃんと言葉を選んでいれば。
 もっと真帆の気持ちを聞いていれば。違う結果になってたかもしれない」

 朝倉の目が、真っ直ぐに私を見る。

「だから、俺の方こそごめん。五年前は、ちゃんと向き合えてなかった」

 胸が、ぎゅっと締まった。
 お互いに、謝っている。後悔している。
 五年という時間をかけて、やっとここまで来た。

「……ありがとう」

 それしか、言えなかった。

「こちらこそ」

 朝倉が、静かに笑った。
 その笑顔を見て涙が出そうになった。

 堪えるのに必死だったのは言うまでもない。