五年前。
私は、朝倉に弱みを見せられなかった。
仕事が辛くても、疲れていても、大丈夫なふりをしていた。
心配されたくなかった。
結果、朝倉には「仕事ばかり」と見えていたのかもしれない。
私が何を感じているのか、何に苦しんでいるのか。
伝わっていなかったのかもしれない。
「......あったよ」
気づいたら、口に出していた。
「辛いことも、しんどいこともあった。でも、言えなかった」
「どうして」
「......わからない。弱いところを見せたくなかったのかも」
朝倉が、じっと私を見た。
その目が、何かを言いたそうにしている。
でも、何も言わなかった。
「......駅、着いたね」
私は話を打ち切った。
これ以上、踏み込まれたくなかった。
「お疲れ様。明日、よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
改札を抜けて、別々のホームへ向かう。
朝倉の背中が見えなくなるまで、私はその場に立っていた。
◇
会社に戻り、明日の準備を終わらせた。
九時過ぎ、編集部を出る。
帰りの電車の中で、窓の外を見ながら考えた。
朝倉の仕事ぶり。
予想以上に優秀だった。気配りができて、先を読める。
コミュニケーション能力も高い。
私は、朝倉に弱みを見せられなかった。
仕事が辛くても、疲れていても、大丈夫なふりをしていた。
心配されたくなかった。
結果、朝倉には「仕事ばかり」と見えていたのかもしれない。
私が何を感じているのか、何に苦しんでいるのか。
伝わっていなかったのかもしれない。
「......あったよ」
気づいたら、口に出していた。
「辛いことも、しんどいこともあった。でも、言えなかった」
「どうして」
「......わからない。弱いところを見せたくなかったのかも」
朝倉が、じっと私を見た。
その目が、何かを言いたそうにしている。
でも、何も言わなかった。
「......駅、着いたね」
私は話を打ち切った。
これ以上、踏み込まれたくなかった。
「お疲れ様。明日、よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
改札を抜けて、別々のホームへ向かう。
朝倉の背中が見えなくなるまで、私はその場に立っていた。
◇
会社に戻り、明日の準備を終わらせた。
九時過ぎ、編集部を出る。
帰りの電車の中で、窓の外を見ながら考えた。
朝倉の仕事ぶり。
予想以上に優秀だった。気配りができて、先を読める。
コミュニケーション能力も高い。
