元恋人と、今日から同僚です

 午後の企画会議。

 先週の続きで、スキンケア特集の方向性を詰める。
 朝倉の「手をかける贅沢」という提案が採用された。
 それに伴って、私の企画は修正を加えることになっていた。

「結城さん、修正版どう?」

 藤堂さんに聞かれ、企画書を配る。

「朝倉さんの意見を取り入れて、『自分のための十五分』というコンセプトにしました。
 忙しい毎日だからこそ、夜のケアタイムを贅沢に??という方向です」
「いいね。朝倉くんの視点と、結城さんの実務経験がうまく融合してる」

 藤堂さんが満足そうに頷く。
 朝倉と目が合った。彼は何も言わず、小さく頷いただけだった。

 悔しさは、まだある。
 でも、いい企画になったのは事実だ。認めざるを得ない。

 会議が終わり、席に戻る。
 朝倉が近づいてきた。

「結城さん、企画、よかったです」
「……どうも」
「俺の意見、うまく取り入れてくれて」
「仕事だからね」

 素っ気なく答えて、パソコンに向かう。
 朝倉は少し黙って、それから言った。

「今日、仕事終わりに時間もらえませんか」

 心臓が跳ねる。
 また、この話か。

「……何の話?」
「金曜に言いかけたこと。ちゃんと、最後まで話したい」
「私、断ったよね?話しをする気はないって」
「わかってる。だけど??」

 周囲の目が気になる。
 小声で言い返す。

「ここで、そういう話しないで」
「じゃあ、どこでなら話せる?」

 詰められて、言葉に詰まる。

「……仕事終わりに、外で」

 そう言うしかなかった。
 断り続けるのも限界だ。

 はっきり拒否して、終わりにしよう。