元恋人と、今日から同僚です

 午後、宮本が嬉しそうに話しかけてきた。

「真帆さん、藤堂さんに公認されたんですって?」
「……もう広まってるの?」
「編集部、狭いですからね」

 宮本が、にこにこ笑っている。

「よかったですね。これで堂々と——」
「堂々とはしないよ。仕事中は、普通にするつもり」
「えー、つまんないー」
「つまんなくていいの」

 宮本が、少しがっかりした顔をした。
 でも、すぐに笑顔に戻った。

「でも、本当によかったです。真帆さんが幸せそうで」
「……ありがとう」
「私、ずっと心配してたんですよ。真帆さん、朝倉さんのことで悩んでて」
「うん」
「でも、今は幸せそう。それが、一番嬉しいです」

 宮本の言葉が、じんわりと胸に染みた。
 この子は、ずっと私のことを心配してくれていた。
 愚痴を聞いてくれて、アドバイスをくれて、いつも励ましてくれた。
 本当に、ありがたい存在だ。

「宮本にも、感謝してる。色々、相談に乗ってくれて」
「私は、何もしてないですよ」
「してくれた。宮本がいなかったら、私、まだ悩んでたと思う」
「……そうですか?」
「うん。本当に、ありがとう」

 宮本が、少し照れくさそうに笑った。

「じゃあ、お礼に、今度ご飯おごってください」
「いいよ。何でも好きなもの食べて」
「やった。焼肉行きたいです」
「了解。週末にでも」

 宮本と約束して、席に戻った。