ゆらめく君




ホームルームはすぐに終わって解放されたけど、彼の席にはいろんな人が集まるだろうと予想して離脱。ユカの方に避難するけど、こっちもこっちで注目されることに変わりはない。



「百ったら。運強いよ、よかったね」

「どこが? 何もよくないよ」



ずっと面白がっている彼女の肩を軽く叩いた。



「お似合いだと思うけど?」

「からかってるよね」



ユカが意味ありげに顎をあげて催促してくる。


中心で笑っている彼。
さらさらの黒髪、アーモンドの切れ長な眼、バランスのいい目鼻立ち、涼しげな顔立ちは確かに整っている。
初対面でも感じるほどの爽やかさは並の男子高校生からは抜きん出ていて、人の関心を惹きつけてやまないのだと思う。男女問わず集まるのだからすごい。


視線を戻してユカの方を見ると、まだにやけた表情が浮かんでいた。



「何?」

「べつにー」



そんなこと言う割ににこにこしたままで私は今日何度目かのため息は吐き出す。



「しかたないじゃん、百が面白いんだもんっ」



怒んないで、って、つけ加えたユカについ降参しそうになる。


べつに怒ってないけど怒ったふりで顔を背けると、不意に目があったのは、今日初めて話した外薗 壱生だった。


目が合うと笑顔を向けられて、ついげんなりした。危ない。
ちょうど話のネタにしてしまっていたから少々の罪悪感も覚える。



「、でね? …って聞いてる? 壱生」

「ああごめん、聞いてるよ」



話を振られていたらしい彼は慌てて返事をしていたから私も目を逸らした。


ユカはやっぱり、珍しくずっと1人で話し続けていて、私は相槌をうつに徹する。なんとなく浮き足立っているクラスの雰囲気も数日間のことだと思うから、そのうち慣れると思う。慣れたい、流石に。


今日は授業がなく早く帰れそうでラッキーだけど、そのうち色々と行事が詰まっていると説明されてるから、新学期からちょっと憂鬱。内緒だけど。



「で、ってきーてる?」



膨れたユカに苦笑して頷くと、怪しむように目を細めた。