「だってクラス違ったし」
「それは私も同じだよ」
「有名な人?」
「めちゃくちゃもてる人だよ。入学式で告られてたもん」
「それはすごいね」
本当にすごく有名な人なんだと理解できたけど。
チラリと人だかりに視線を向ける。中心すぎてはっきりと認識できない。まぁ、同じクラスだし今後嫌と言うほど見ることになるから、今はいいかな。
ユカは変わらず残念なものを見るように顔で私を見つめてくる。
「ほら席につけー。ホームルーム始めるぞー」
何か言い返そうとした私を遮るように先生の声が響いた。
新学期早々、なんだか腑に落ちない。
⸝⋆⸝⋆
⸝⋆⸝⋆
新学期早々、腑に落ちない。
なんてついさっき思ったばかりだ。
”よかったね”
口パクでニヤリ顔を隠せないユカに気づいてため息が出そうになった。
席順は恒例の番号だと思ったのに、まさかのくじ引きで。
私は新学期早々、いろんな人の関心を集めてしまう結果になった。
「俺、外薗 壱生。よろしくね」
すごくもてるという、彼の隣の席を引いてしまったのだ。
「槙田です。よろしく」
「うん、よろしく、槙田さん」
嫌と言うほど見ることになると思ったけど、ここまで予想はできなかった。
女子たちの羨望や嫉妬がじわじわを身を刺すような心地。私のそんな引き攣りそうな表情に気づかず、きらきらしい爽やかな笑顔を返す彼はこの状況に疑問を持たないのかな。
窓際の一番後ろ、の隣だなんて。
彼の方を見ると反対側からものすごい視線を感じて居心地悪い。
誰か変わってくれないかな。
「しばらくは今の席順だから。喧嘩すんなよなー」
担任のやる気のない言葉にがっかりしたのは私だけではないはず。



