「え……そうなんだ、気がつかなかった。コーラに夢中で」
お手数おかけしました、と頭に犬耳が見えそうなほどしょんぼりと言う橘くんに、気にしないでと一言返す
───なんかっ、なんか、めちゃめちゃいい人っぽくない?!
こ、こんな人だったんだ………クールそうに見えるのにめちゃめちゃ可愛い一面しかない
コーラに夢中でチャイム気づかないって……そして思ったよりずっと喋る
これは─────ギャップでは?!
私の心はすでに、橘くんに掴まれていました
◇ ◇ ◇
「制服着替えてから行くから、先生に『来る途中、近所の人の道への水撒きに巻き込まれたので着替えています』って伝えてくれるかな?」
「も、もちろん」
い、言い訳が独特
「あ、あと………」
「?」
どうしたんだろ
申し訳なさそうに眉を垂らした橘くんを見上げる
「頼み事ばかりで申し訳ないんだけど、今何分か時計見せてもらってもいい?」
「うん!どうぞ」
時間を知りたかったらしく、そう頼まれた私は腕時計をしている腕をスッと差し出す
あ、時計外したほうが見えやすいか……あ、何なら読み上げた方がはやいな
途中でそう思い返して手を引こうとした瞬間、優しく手首を掴まれ一気に橘くんとの距離が縮まる
それにありえないほど時計に顔を近づける

