「はい、じゃあHRはじめますね、出席確認から。居ないのはー……」
そう言って先生がぐるりと教室を見つめ、視線が私の隣の席にとまる
「あら、橘くん今日は欠席の連絡入ってないけれど……どこ行ったか知ってる人いない?」
先生が問いかけるも、みんな首を傾げるばかりで知っている人は誰1人いない
…………それはそうだよね
橘琥珀くんといえば───
一寸の狂いもなく整った柔らかな印象の中性的な顔立ち
ふわふわとしたミルクベージュに染めた髪にそこから覗くピアス
程よく着崩した制服
入学以来、誰かと固まって話しているところを見たことがない男の子は橘くんだけだ
人とは必要最低限のコミュニケーションしかしないし、常に無表情なので近寄りがたい雰囲気のある男の子
見た目から軟派な人なのかな、という印象もあるが常に成績はトップ
ちゃんと授業にも出ているし、唯一だらけている姿を見る時といえば体育の時間と休憩時間だけ
隣の席にもう一度視線を移すと、席に鞄がかかっていたのを発見して、先生に伝える
「あの、先生、多分学校には来ています。鞄があるので……」
「あら、本当ね。一応来ていることはわかったけれど……どうしましょうか」
行方は誰も分からないので、沈黙だけの時間が流れていく
「そうね……保健室にいる可能性もあるから、保健委員の人……あ、ちょうど来栖さんね」
「………?はい」
「保健室にいるかどうか見に行ってきてくれる?ごめんね」

