いつもクールで無口なクラスメイトの橘琥珀くん
一寸の狂いもなく整った柔らかな印象の中性的な顔立ち
ふわふわとしたミルクベージュに染めた髪にそこから覗くピアス
程よく着崩した制服
入学以来、誰かと固まって話しているところを見たことがない男の子は橘くんだけだ
あまりにも必要最低限のコミュニケーションしかせず、常に無表情なので近寄り難い男の子、という認識となっていた
見た目から軟派な人なのかな、という印象もあるが常に成績はトップ
そのルックスと雰囲気から一部の女子からは絶大な人気を得ている
そんな橘くんが、超がつくほどの天然ドジだなんて誰が想像できようか
本当の彼は───
「あ。………た、卵焼きが飛んじゃった………」
「…………な、泣かないで!ね?あー!私の卵焼きが橘くんのお弁当箱に行きたいって、食べて欲しいんだって!はい、どーぞ!」
大好物の卵焼きが箸からぴょんっと脱走してぼとりと床に落ちたのを見て、綺麗な目に涙をいっぱいためて泣きそうになる橘くんを慰めるべく、私は常備している割り箸を開けて私の卵焼きを橘くんのお弁当箱の中に移動させる
「……いいの?でも胡桃ちゃんのが」
「いいのいいの!もう一個あるから!」

