「ユウリくん!ごめん、お待たせ!」
家を囲む外壁を背にして立っていた彼が、あたしの声に反応して振り返る。
(――――え?)
その瞬間、まるで時が停まったような衝撃を受けた。
どうして。
なぜ彼がここに。
(一体何がどうなってるの?)
混乱し過ぎて思わず全ての思考が停止しかけるも、その整った顔立ちには間違いなく見覚えがあった。
忘れるわけがない。
むしろ、よくも今まで思い出さずにいられたものだと……
そう思わずにはいられなかった。
「おはよう。菜花ちゃん。っていうかどうしたの?いつもは夕璃って呼び捨てで呼ぶのに。……?菜花ちゃん?大丈夫?」
「……!あ、ううん。大丈夫、大丈夫。ごめん、えっと……夕璃」
「本当に大丈夫……?なんだか今日の菜花ちゃん、顔色もおかしいような……。朝ごはん、変なものでも食べた?」
彼の名前は、瑞波夕璃。
あたしと同じく15歳の中学3年生で、幼稚園時代からのあたしの家のお隣さんだ。つまりは幼なじみという予想は当たっていたことになるのだが。
「夕璃……夕璃!!!」
「えっ!?うわぁっ!!!」
濁流のように溢れ出した感情があたしを突き動かして、
気付けば数センチ程度しか変わらないような小柄な彼の体を、あたしはぎゅっと抱きしめていた。
