୨୧‥∵‥‥∵‥‥∵‥‥∵‥‥∵‥‥∵‥୨୧
今日は、ずっと前から借りたかった本がやっと返されたので、嬉しくて1時間ほどで読み終わってしまいました。
この時間は、とてもいいです。本当に。
恋でうるさい心が、唯一少しだけ静まりますから。
ですが、そんな心はすぐに音を立てることとなるのでした。
いつものメロンソーダの自販機の前。
ここは校舎に挟まれた裏側なので、穴場なんですよね。人がいるところを見たことがありません。
まあ、毎日この時間に来るので、他の時間の人に会わないだけかもしれませんが…。
メロンソーダは意外と安い150円。お財布にもお腹にも優しいです。
すると、後ろの方で足音がしました。
珍しいですね。自分だけのスポットだと思っていたので、少しがっかりです。
振り返ると、私の心臓がばくっと音を立てました。
柔らかな光が差した、黒川さんが立っていました。
たっぷりフリーズします。
世界がスローモーションになったみたい。
「…のいてほしいんだけど……」
「あっ。すすすすみませんっ」
…やらかしました。
急に自分が嫌になります。すぐに退けばよかった…。。。
呆れ顔で、天然水を買って去っていきます。
後ろ姿までかっこいいなあ…。ぼんやりと見つめていると。
「そうだ」
急に黒川さんがくるっと振り向きます。
「今度カラオケ来ねえ?」
「えぇっ」
興奮していながら、私はどこか冷静でした。
カラオケ…?多分先週一軍女子たちが言ってたやつでしょうけど、私なんかが行っても面白くないでしょうし第一歌は下手ですし、そもそもカラオケって不良がたむろしてるとこじゃないんでしょうか。
行ったことがないのでよくわかりませんけど。
「ええと、大丈夫です。多分、行かない方がいいと思うので」
おどおどしながら言うと、黒川さんは、どちらかというと呆れたように目を開きました。
「…どういうこと?」
「え、えと、陽キャのみなさんばかり…なので」
怖い。
嫌われないかな。
黒川さんはまっすぐに私の目を見つめてくれています。
見つめ返す勇気がない。目線は下のまま。
「陽キャだからなんだよ、陽キャだろうが隠キャだろうがおもしれぇ奴はおもしれぇよ。つまんねぇ奴はつまんねぇし」
「…え」
思っても見ない言葉でした。
そんなことない、とか月城だって陽キャだろ、とかなんて聞き飽きています。もはやテンプレートです。
でも、黒川さんはその独自の考えを持っていました。
単純に感心です。
「…日曜だけど、用事ある?割カンだから…ええと、400円くらいじゃねえの」
「あり、がとうございます。…え、えっと、考えときますね!」
そう言って私は、逃げるようにその場を去りました。
