ああ、詰んだ
多分これ詰んでる
「………あれ、こんなところでどうしたの?」
膝を擦りむき、ぺたりと地べたに座り込む私の目の前に落ちる影に顔を上げる
闇に溶けそうな黒髪に映えるような真っ白で陶器のような肌に、すっと通った鼻筋
切れ長の目に長いまつ毛、薄い唇
座り込んだ私と目線を合わせるようにしゃがむと同時にふんわりと香る爽やかさのなかに甘さのある香水
そう言って何を考えているのかわからない微笑を浮かべる目の前の綺麗な男の人をちらっと見上げて、私は『あ、詰んだなこれ』と思う
「うちの高校と同じ制服の可愛い女の子がこーんな深夜に、ボロボロで、しかもこんなところにいるって思ってきてみたら何とびっくり」
無理だよね、バレてないなんて。と思いながら、どうかまだバレていませんように、と一縷の望みに縋らずにはいられない
上にパーカーを羽織っているとはいえ、下から覗く県で1番頭がよく、尚且つ家柄のいい人たちが集まる学園の制服を着ている女子生徒がこんなボロボロの姿で夜の街の裏道に座り込んでいたら誰だって気になるだろう
大丈夫、こんな暗闇だから誰かまではわからないはず
せめて顔が見えないように、と俯き加減を深くする

