「………冷やしてるほっぺた、逆だよ?」
「え」
慌てて氷を当てている方とは逆のほっぺに手を当てると、じん、と痛んだ
「え、あ、ほんとだっ………」
ああ、私のバカ
そりゃ両方じんじんするわけだ
若干の気まずさと恥ずかしさを押し殺しながら氷をほっぺたに当てる
そんな私のわたわたした様子を特に表情を変えず、いつもの感情の読めない微笑で眺めている冬野くんと目があう
「………あ、の。手当してくれてありがとうございます。おかげで助かりました……」
「うん」
会話終了
目が合ったまま沈黙の時間が流れ、耐えきれずに視線をキョロキョロさせた
整っている男の子の顔をじっと見返せるほど私の心臓は強くできていない
そわそわとしている私を見つめながら冬野くんは口を開いた
「……なんでこんな時間に、あんなところいたの?」
「あ…えっと、」
なんて言おう
家庭事情がばれてはいけない
いや、もうばれている可能性90%くらいだけどっ!
黙っててくださいってお願いもしないとだけど!
『迷子の子犬ちゃん』

