ミラー☆みらくる!

 今日から期末テスト一週間前ということで、部活動は休止期間に入った。

 いつもなら放課後は色んな部活の賑やかな声や音が聞こえてくるのに、ほとんどの生徒が帰ってしまった今、わたしがいる視聴覚室は数人の生徒のみで、ひっそりとしている。
 ここにいるのはわたしを含めて昨日の小テストで成績が悪かった陸上部員だ。
 一年生だけじゃなく全学年小テストは実施されていたから、先輩たちも数名ここに集まっていた。

「ね、先輩たち、なんかいつもより暗いよね」
 隣に座った同じ陸上部一年のすみれちゃんが、小さな声で聞いてきた言葉に頷いた。
 多分、藤っちから怒られることはわかっているものの、それにしても先輩たちの表情は暗すぎる。
 すみれちゃんと二人で不思議に思って顔を見合わせていたら、静寂を打ち破る扉を開ける音が響いた。
 予想通りに藤っちが入ってくると、先輩たちはさらに青ざめていく。

 どうしたんだろう?
 そんな先輩たちに一通り視線を送り、なにもわかっていないわたしたち一年生に藤っちは不敵な笑みを浮かべた。
 ……なんか、いやな予感がする。

「はい。上級生はもうわかってるだろうけど、一年生の為に説明します」
 彼がこうして笑みを浮かべている時が一番怖いっていうのは、わたしたち一年生でももうわかってる。
 これ、本気で怒ってるやつだ。

「陸上部は文武両道と常日頃言っています。とはいえ、なにも成績優秀じゃなければいけないとは言っていません。ですが、赤点はぜっっったいに認めません!」

 ……ですよねぇ。入部当初から言ってたもんね。
 莉菜だってわかっていたけれど、それでも勉強嫌いなんだもん。

「そして、期末後に県予選がはじまるということを、わかってますよね? 君たち、今のままでは出られないって……わかってますよね?」

 藤っちのワントーン下がった低い声は強くも大きくもないのに、ビリッとしびれる感覚がした。
 六月下旬で蒸し暑いはずなのに、視聴覚室にヒヤッと冷たい空気が流れてくる。
 背中に冷たい汗がツゥーッと流れていく。