『ねぇ、もう一人のあたし……うーん、なんて呼んだらいい?』
「難しいよね。でも、わたしもリナなんだよね。誰に呼ばれたわけじゃないけど、リナとして存在していたから」
『そうだよね、あなたもあたしだもんね。じゃあよろしくね、リナ……って、なんかやっぱ不思議な感じ。見た目自分に対してリナって呼ぶの」
「そっか。わたしはずっと莉菜って呼んでたから違和感ないよ」
『うーん……リナリナとか、鏡だから逆さでナリ? それも変だねっ。やっぱりリナがいいか』
きゃははっと楽しそうに笑う莉菜からは入れ替わったことに対する不安とかまったく感じられない。
「り、莉菜はどう思っているの? 今回、入れ替わっちゃったこと」
『んー? そうだね。なんで入れ替わっちゃったんだろうね?』
「……ちゃんと考えてなかったでしょ」
『バレたか。だって入れ替わったおかげで小テストのこと考えなくてよかったし、なにより自分が動いている様子を見てるってなんかワクワクしちゃって!』
語尾に音符がついているんじゃないかってくらい弾む声だから、本心で言ってるんだろうな。
「わたしね、ずっと【鏡の部屋】にいたの。そこでずっと莉菜のことを見ていたんだよね。いつも楽しそうで、見ているわたしも楽しかったの」
『そうなんだ。うん、確かに毎日楽しいよー……テストがなければね』
「それ! それが入れ替わりの原因だと思うの」
『それって、どれ?』
「もうっ! テストよ、テスト。今朝の莉菜、すごく憂鬱だったでしょ? あんなに落ち込む莉菜、はじめて見たもん」
すっとぼけているんだか、本当に考えていなかったのか。
わたしはこれでも色々考えていたっていうのに。
『あー……確かに今日の小テスト本当に嫌だったんだよね。だって、藤っち厳しいんだもん』
藤っちというのは、英語の教科担任の先生でもあり、陸上部の顧問の先生で、確か三十代だったかな。でももっと若く見えるかも。
体つきもしっかりしてるから、英語の先生というより、体育の先生みたい。
練習が終われば気さくな先生なんだけど、部活中はとにかく熱血!
そしてこの藤っちこと藤城先生こそが文武両道を掲げているから、特に英語の小テストの成績が悪いと居残り補習があったり宿題が追加されたりしちゃうんだ。
今回の小テストの返却でも、きっと何かしらがあるんじゃないかな。
「莉菜、本気でやばいかもよ」
来週からは期末テストがはじまるし、期末が終われば夏の大会がすぐそこに迫っている。
このタイミングで成績が悪かったら、本当に試合に出られないかもしれない。
『そうはいっても、中学に入ったらなんかスピードアップしてついていけなくなっちゃったんだもん』
「でも、大会出たいでしょ? だったら頑張らないと、ね」
『そりゃ、大会は出たいけどさぁ』
だよね。そのために頑張ってきたんだもん。
テストの成績が悪くて大会出られないなんて、今までの練習が無駄になっちゃう。
「じゃあ……戻ろうか」
ちょっと残念だと思いながらも、ここはわたしが本来いる場所じゃない。ちゃんと莉菜に返さないとね。
「難しいよね。でも、わたしもリナなんだよね。誰に呼ばれたわけじゃないけど、リナとして存在していたから」
『そうだよね、あなたもあたしだもんね。じゃあよろしくね、リナ……って、なんかやっぱ不思議な感じ。見た目自分に対してリナって呼ぶの」
「そっか。わたしはずっと莉菜って呼んでたから違和感ないよ」
『うーん……リナリナとか、鏡だから逆さでナリ? それも変だねっ。やっぱりリナがいいか』
きゃははっと楽しそうに笑う莉菜からは入れ替わったことに対する不安とかまったく感じられない。
「り、莉菜はどう思っているの? 今回、入れ替わっちゃったこと」
『んー? そうだね。なんで入れ替わっちゃったんだろうね?』
「……ちゃんと考えてなかったでしょ」
『バレたか。だって入れ替わったおかげで小テストのこと考えなくてよかったし、なにより自分が動いている様子を見てるってなんかワクワクしちゃって!』
語尾に音符がついているんじゃないかってくらい弾む声だから、本心で言ってるんだろうな。
「わたしね、ずっと【鏡の部屋】にいたの。そこでずっと莉菜のことを見ていたんだよね。いつも楽しそうで、見ているわたしも楽しかったの」
『そうなんだ。うん、確かに毎日楽しいよー……テストがなければね』
「それ! それが入れ替わりの原因だと思うの」
『それって、どれ?』
「もうっ! テストよ、テスト。今朝の莉菜、すごく憂鬱だったでしょ? あんなに落ち込む莉菜、はじめて見たもん」
すっとぼけているんだか、本当に考えていなかったのか。
わたしはこれでも色々考えていたっていうのに。
『あー……確かに今日の小テスト本当に嫌だったんだよね。だって、藤っち厳しいんだもん』
藤っちというのは、英語の教科担任の先生でもあり、陸上部の顧問の先生で、確か三十代だったかな。でももっと若く見えるかも。
体つきもしっかりしてるから、英語の先生というより、体育の先生みたい。
練習が終われば気さくな先生なんだけど、部活中はとにかく熱血!
そしてこの藤っちこと藤城先生こそが文武両道を掲げているから、特に英語の小テストの成績が悪いと居残り補習があったり宿題が追加されたりしちゃうんだ。
今回の小テストの返却でも、きっと何かしらがあるんじゃないかな。
「莉菜、本気でやばいかもよ」
来週からは期末テストがはじまるし、期末が終われば夏の大会がすぐそこに迫っている。
このタイミングで成績が悪かったら、本当に試合に出られないかもしれない。
『そうはいっても、中学に入ったらなんかスピードアップしてついていけなくなっちゃったんだもん』
「でも、大会出たいでしょ? だったら頑張らないと、ね」
『そりゃ、大会は出たいけどさぁ』
だよね。そのために頑張ってきたんだもん。
テストの成績が悪くて大会出られないなんて、今までの練習が無駄になっちゃう。
「じゃあ……戻ろうか」
ちょっと残念だと思いながらも、ここはわたしが本来いる場所じゃない。ちゃんと莉菜に返さないとね。

