ピピッ、ピピッとアラームが鳴った瞬間、莉菜の身体は反応するようになっている。
朝練のおかげで早起きの習慣がついているんだ。
だけど今日は朝練じゃない。朝勉をしに行くんだ。
しかも、鳴海とマンツーマン……そう思うと朝から憂鬱になっちゃうけど、仕方がない。
身支度を整えてリビングに行くと、キッチンに立っていたお母さんがわたしを見て驚いた。
「莉菜、どうしたの? 期末前で部活は休止期間よね?」
「うん、そうなんだけどね。朝勉しに行くから、いつもと同じ時間に家を出るの」
「あさべん?」
「朝勉強。だから朝ごはんよろしくね……って、お母さん? どうしたの?」
信じられないものを見るように、お母さんは大きく目を見開いていた。
「莉菜が、あの莉菜が、朝から勉強? ちょっと! 熱はない? あら、ちょっと額が熱いかしら!? た、体温計どこだったかしら!?」
あわてていくつかの棚の引き出しを開けて、体温計を探しはじめる。
ちょっと……確かに莉菜は勉強嫌いだったけどね。
だからって、いくらなんでもそれはないでしょーっ!
「熱なんてないのっ。今回はどうしても赤点とるわけにはいかないから、頑張るしかないの」
「そうなの? だって莉菜が自分から勉強なんて、今までなかったんですもの」
そうですけどね。でも勉強するって伝えたら熱があるって思う母親どうなのよっ。
喜ばしいことでしょ!
「顧問の先生から二人一組で勉強して、どっちかが赤点とったら連帯責任で二人とも試合に出られないって言われたの」
実際には鳴海が赤点はありえないから、莉菜が、なんだけどね。
「あらまぁ。それは頑張るしかないわね」
「でしょ?」
手に持っていた体温計を、お母さんはなかったことにするかのように棚へとしまった。
「じゃあ急いでご飯の支度するわね」
「ありがとう。お母さん」
「ふふっ。昨日から莉菜が素直でビックリしちゃう。なにかいいことでもあったの?」
いいこと……なのかな?
わたしにとっては新鮮で楽しいことばかりだけど、莉菜にとってはどうなんだろう?
昨日の夜もあっさりしていたし、入れ替われないことに焦っている様子はない。
今、どんな気持ちで見ているんだろう。
匂いも熱も感じないあの空間で、どう過ごしているんだろう。
このままでいいわけじゃないのはわかっている。
それでもお母さんが用意してくれた卵トーストは、ふわふわたまごとケチャップが絶妙で、幸せの味がした。
朝練のおかげで早起きの習慣がついているんだ。
だけど今日は朝練じゃない。朝勉をしに行くんだ。
しかも、鳴海とマンツーマン……そう思うと朝から憂鬱になっちゃうけど、仕方がない。
身支度を整えてリビングに行くと、キッチンに立っていたお母さんがわたしを見て驚いた。
「莉菜、どうしたの? 期末前で部活は休止期間よね?」
「うん、そうなんだけどね。朝勉しに行くから、いつもと同じ時間に家を出るの」
「あさべん?」
「朝勉強。だから朝ごはんよろしくね……って、お母さん? どうしたの?」
信じられないものを見るように、お母さんは大きく目を見開いていた。
「莉菜が、あの莉菜が、朝から勉強? ちょっと! 熱はない? あら、ちょっと額が熱いかしら!? た、体温計どこだったかしら!?」
あわてていくつかの棚の引き出しを開けて、体温計を探しはじめる。
ちょっと……確かに莉菜は勉強嫌いだったけどね。
だからって、いくらなんでもそれはないでしょーっ!
「熱なんてないのっ。今回はどうしても赤点とるわけにはいかないから、頑張るしかないの」
「そうなの? だって莉菜が自分から勉強なんて、今までなかったんですもの」
そうですけどね。でも勉強するって伝えたら熱があるって思う母親どうなのよっ。
喜ばしいことでしょ!
「顧問の先生から二人一組で勉強して、どっちかが赤点とったら連帯責任で二人とも試合に出られないって言われたの」
実際には鳴海が赤点はありえないから、莉菜が、なんだけどね。
「あらまぁ。それは頑張るしかないわね」
「でしょ?」
手に持っていた体温計を、お母さんはなかったことにするかのように棚へとしまった。
「じゃあ急いでご飯の支度するわね」
「ありがとう。お母さん」
「ふふっ。昨日から莉菜が素直でビックリしちゃう。なにかいいことでもあったの?」
いいこと……なのかな?
わたしにとっては新鮮で楽しいことばかりだけど、莉菜にとってはどうなんだろう?
昨日の夜もあっさりしていたし、入れ替われないことに焦っている様子はない。
今、どんな気持ちで見ているんだろう。
匂いも熱も感じないあの空間で、どう過ごしているんだろう。
このままでいいわけじゃないのはわかっている。
それでもお母さんが用意してくれた卵トーストは、ふわふわたまごとケチャップが絶妙で、幸せの味がした。

