「よし、じゃあさっそくやるぞ。まずはこの小テストの振り返りだ」
気づけば立って話し合っているのはわたしたちくらいで、みんな空いている席に座って話し合ったり勉強に取り組んだりしていた。
鳴海が立っていた場所の席にそのまま座ったから、わたしも後ろの席に座る。
「藤城って厳しいこと言いながらも甘いんだよな」
「え⁉ どこが!」
藤っちがスマイルを繰り出した時が一番怖いのは【鏡の部屋】から見ててもわかった。
どなりつけるわけじゃない。静かな怖さってあるんだなと思ったから。
「この小テストだよ。ここにある英単語を覚えれば期末テストはまず赤点にならない」
「そうなの⁉」
「あいつだって好きで生徒に赤点取らせたいわけじゃないだろう。ちゃんと準備すれば大丈夫なようにしてくれているんだよ」
へー。藤っちいいとこあるじゃん。
やる気にはなっていても道筋はわからなかったのに、一筋の希望が見えてきた。
「そういえば芹香ちゃんからも、とにかく英単語はとにかく暗記って言われた」
「まぁ、実際にはbe動詞とかもあるけれど、そもそも単語を知らなかったら始まらないからな。国語も社会も理科も、日本語が読めなければ何もできないだろう。単語は基本中の基本だ」
「そっか。なんか頑張れそうな気がしてきた!」
多分、英語っていうだけで身構えていたところあるんだよね。
難しいものだと思いこんで最初からマイナスの気持ちになっていた。
日本語がわかるから他の教科の問題が読める、か。
ちんぷんかんぷんと思っていた英語も、単語を覚えたら少しはわかるようになるかもしれないってことだよね。
「やる気になったなら、さっそく覚えろ。覚え方は人それぞれあるが、俺は書いて覚えるのが一番だと思う。何度も書いていたら自然と手が覚えていく。陸上と一緒だ」
「そこは一緒じゃないでしょ」
「一緒にしとけ。好きなことと一緒だと思ったら苦手意識も減るだろう。陸上だってフォームも何度だって走って注意受けて身体が覚えていくんだから」
そう言われてみればそうだ。
手の振り方も入部当初はずいぶんと指摘を受けた。
何度も言われたことで意識するようになって、少しずつ改善していったっけ。
「ほら、手が止まっている」
「あ、ごめん」
「集中しろよ。これ、明日の朝テストするからな」
「テスト⁉」
しかも朝ってどういうこと?
「普段の朝練で朝が強いっていうのは証明されているからな。今日はこの小テストの勉強し直してこい。なんせ期末って英語だけじゃないからな」
「わかってるよぉ」
一教科でも得意科目があればいいけれど、莉菜が得意なのは体育と音楽だけ。
五教科はどれも苦手なんだ。
希望が見えたと思ったのに他の教科も頑張らないといけないことを思い知り、また気分が重くなる。
「心配するなよ」
目を伏せたわたしのおでこに小さな衝撃が走った。
「いったーい!」
「大げさだな。小さくはじいただけだろう?」
「デコピンはダメでしょ」
突然だったから驚いただけで、そんなに痛くはない。
それでも衝撃はあったから、指で軽くなでる。
「落ち込んでいる時間なんか与えないから。基本は放課後に重点ポイントを教えるから家帰って復習して、翌朝テストだ。休み時間もないと思え」
「わかった」
「……素直だな」
だって、一人で勉強していても勉強の仕方なんて身につかなかった。芹香ちゃんに教えてもらっても、どこか本気になれなかった。
鳴海が『甘えている』って言ったのは間違っていない。
悔しいけれど、鳴海だから出来ないなんて言いたくないからやる気になる。
見返してやるという気持ちと、これ以上弱みを見せたくないという気持ちが、今までにない勉強に対するモチベーションになった。
「明日、見てなさいよっ。絶対にクリアして見せるんだから。鳴海こそ寝坊するんじゃないからね」
挑戦状を叩きつけるような気持で睨みつけたら、余裕の笑みを返された。
気づけば立って話し合っているのはわたしたちくらいで、みんな空いている席に座って話し合ったり勉強に取り組んだりしていた。
鳴海が立っていた場所の席にそのまま座ったから、わたしも後ろの席に座る。
「藤城って厳しいこと言いながらも甘いんだよな」
「え⁉ どこが!」
藤っちがスマイルを繰り出した時が一番怖いのは【鏡の部屋】から見ててもわかった。
どなりつけるわけじゃない。静かな怖さってあるんだなと思ったから。
「この小テストだよ。ここにある英単語を覚えれば期末テストはまず赤点にならない」
「そうなの⁉」
「あいつだって好きで生徒に赤点取らせたいわけじゃないだろう。ちゃんと準備すれば大丈夫なようにしてくれているんだよ」
へー。藤っちいいとこあるじゃん。
やる気にはなっていても道筋はわからなかったのに、一筋の希望が見えてきた。
「そういえば芹香ちゃんからも、とにかく英単語はとにかく暗記って言われた」
「まぁ、実際にはbe動詞とかもあるけれど、そもそも単語を知らなかったら始まらないからな。国語も社会も理科も、日本語が読めなければ何もできないだろう。単語は基本中の基本だ」
「そっか。なんか頑張れそうな気がしてきた!」
多分、英語っていうだけで身構えていたところあるんだよね。
難しいものだと思いこんで最初からマイナスの気持ちになっていた。
日本語がわかるから他の教科の問題が読める、か。
ちんぷんかんぷんと思っていた英語も、単語を覚えたら少しはわかるようになるかもしれないってことだよね。
「やる気になったなら、さっそく覚えろ。覚え方は人それぞれあるが、俺は書いて覚えるのが一番だと思う。何度も書いていたら自然と手が覚えていく。陸上と一緒だ」
「そこは一緒じゃないでしょ」
「一緒にしとけ。好きなことと一緒だと思ったら苦手意識も減るだろう。陸上だってフォームも何度だって走って注意受けて身体が覚えていくんだから」
そう言われてみればそうだ。
手の振り方も入部当初はずいぶんと指摘を受けた。
何度も言われたことで意識するようになって、少しずつ改善していったっけ。
「ほら、手が止まっている」
「あ、ごめん」
「集中しろよ。これ、明日の朝テストするからな」
「テスト⁉」
しかも朝ってどういうこと?
「普段の朝練で朝が強いっていうのは証明されているからな。今日はこの小テストの勉強し直してこい。なんせ期末って英語だけじゃないからな」
「わかってるよぉ」
一教科でも得意科目があればいいけれど、莉菜が得意なのは体育と音楽だけ。
五教科はどれも苦手なんだ。
希望が見えたと思ったのに他の教科も頑張らないといけないことを思い知り、また気分が重くなる。
「心配するなよ」
目を伏せたわたしのおでこに小さな衝撃が走った。
「いったーい!」
「大げさだな。小さくはじいただけだろう?」
「デコピンはダメでしょ」
突然だったから驚いただけで、そんなに痛くはない。
それでも衝撃はあったから、指で軽くなでる。
「落ち込んでいる時間なんか与えないから。基本は放課後に重点ポイントを教えるから家帰って復習して、翌朝テストだ。休み時間もないと思え」
「わかった」
「……素直だな」
だって、一人で勉強していても勉強の仕方なんて身につかなかった。芹香ちゃんに教えてもらっても、どこか本気になれなかった。
鳴海が『甘えている』って言ったのは間違っていない。
悔しいけれど、鳴海だから出来ないなんて言いたくないからやる気になる。
見返してやるという気持ちと、これ以上弱みを見せたくないという気持ちが、今までにない勉強に対するモチベーションになった。
「明日、見てなさいよっ。絶対にクリアして見せるんだから。鳴海こそ寝坊するんじゃないからね」
挑戦状を叩きつけるような気持で睨みつけたら、余裕の笑みを返された。

