ミラー☆みらくる!

「すみれちゃんっ。鳴海は無理だよ、わたし」
「なんで? 鳴海くんは普通にオッケーしてくれたよ」
 嘘だぁーっ。鳴海がわたしというか、莉菜と組むことをすんなりオッケーするなんてありえないと思う。

「ほら、窓際のところに鳴海くんいるから。莉菜ちゃん、本当にありがとう!」
 頬を赤らめてお礼を言われてしまえば、やっぱり嫌だなんて言えない。
 チラッと窓際に視線をやれば、不機嫌そうにみえる鳴海がいた。

 同じクラスの鳴海遥人。
 わたしというか、莉菜と鳴海はまるで天敵みたいに相性が悪い。
 というか、鳴海がいつも一方的に喧嘩ふっかけてくるんだもん。
 トロいとか、そそっかしいとか、芹香ちゃんに甘えるなとか。
 そりゃあ莉菜が芹香ちゃんに甘えているのは事実だし、そそっかしいのもその通り。でも言い方ってものがあるでしょーっ。

 鳴海とは幼なじみだっていう芹香ちゃんからは「鳴海、イイやつだよ」なんていつも言われる。だけど莉菜にとっては嫌なヤツでしかないもん。
 ……そんな鳴海とペアを組まなくちゃいけないなんて、このペアワークやばいっ。

 でもまわりを見れば組み合わせが決まったペアと燃えていたり真剣に取り組んでいたりして、今更わたしたちのペアと誰か交代しませんか? なんて言える空気じゃない。
 しかたなく、足取り重く鳴海のもとへと向かった。

「……よろしく、おねがいします」
 大っ嫌いでムカつく相手だとしても、このペアはとにかく連帯責任だから、わたしがコケてしまえば鳴海も大会に出られなくなってしまうんだ。
 莉菜が大会に出られないのもダメだけど、鳴海が万が一にもこのペアワークが原因で出られなくなればどれほど恨まれるか。
 なにがなんでも頑張るしかない。
 藤っちの企み、恐るべしっ。

「楠木がしおらしいなんて、天変地異の前触れか?」
 むっかつくーっ!
 人が折れに折れてお願いしているっていうのに!

「嘘だよ。おまえ、ムカついてるって顔に出過ぎだろう」
「当たり前でしょ! あんなこと言われれば」
「悪かったって。でも俺は芹香ほど優しくないからな。甘えても無駄だぞ」
「鳴海になんて甘えるわけないじゃんっ」
「ほぉー、言ったな」
 ニヤリとあやしい笑みを浮かべる鳴海に、思わず足がすくんだ。
 しまった。つい売り言葉に買い言葉でケンカみたいになっちゃった。

「じゃあ小テスト、見せてみろよ」
「え……?」
「返却された小テスト。持っているよな?」
「そ、それは」
 確かに持っている。藤っちがここに集まる生徒は小テストを持参して集合って言ってたから。

「見せなきゃ、ダメ?」
「早く見せろ。お前の成績が悪いことなんて知ってるんだから」

 その言い方にカチンとくる。
 どうして鳴海ってこういう言い方するんだろう。
 これじゃあ莉菜がいつもケンカになるのわかるよ。
 ちょっとヤケになりながらも乱暴に鞄から小テストを取り出して鳴海に押し付ける。
 それに対しては特に文句を言わず、涼しい顔で小テストをじっくりと見る。