ミラー☆みらくる!

「僕も君たちにはちゃんと出場してほしい。だけど今のままでは絶対に無理です」
 無理という言葉にうなだれるしかない。
 莉菜だけじゃない。部員みんな頑張ってきたのに……。

「というわけで、君たちにはペアで勉強してもらいます」

 ペア?
 ペアってどういうこと? 赤点とった人同士で勉強しあうってこと?
 すみれちゃんと顔を見合わると、お互い首をかしげてしまう。
 一方で先輩たちは、さらに青ざめた顔をしていた。

「はい、入ってきてくださーい」
 藤っちの声を合図にして、入口から何人かの陸上部員が入ってきた。

 なんだろう? 心なしか怒っているような、気合が入っているような……。
 それを見て、青ざめた先輩たちは完全に顔色をなくしている。

「彼らは成績優秀者です。彼らとマンツーマンでペアを組んでもらいます。そして、ここからが重要」
 わざわざ言葉を切った藤っちの様子からして、なんだかすごく嫌な予感がする。
 先輩たちじゃないけど、妙な緊張感が走る。

「もし、君たちが期末テストで赤点をとった場合、ペアを組んだ彼らも大会に出ることが出来ません」
「え……?」
 思わずわたしも含めて数人から、驚きの声が漏れた。
 そんな様子を見て、藤っちが悪魔の微笑みをくりだした。

「連帯責任ってやつです。大会に出たかったら教える側も教えてもらう側も、死ぬ気で取り組んでくださいね」
 わ、わたしたちだけじゃなくて、教える側も出られない?

 それは、絶対やばいやつじゃん!
 この大会に出る部員は、みんな必死に練習してきた。
 特に三年生はこれが最後の大会になるかもしれないんだもん。

 そこでようやく、先輩たちが青ざめていた理由に納得した。
 万が一ペアを組んだ相手が、自分の赤点の為に大会に出られず引退なんてなったら……想像するのも恐ろしい!

「聞いたな!? 大会に出られないなんて、絶対に嫌だよな!?」
 成績優秀者として前に立っていた部長が、気合の入った声を張り上げる。
 その言葉に、全員大きく頷いた。

「なにがなんでも、全員赤点回避するぞ! いいな!」
「おぉぉぉぉぉぉーーーーーーっっ!」
 青ざめていた先輩たちも気合を入れて雄たけびをあげた。

 例年、期末一週間前になると、静かな校舎に似つかわしくない、陸上部の悲痛ともいえる叫びがこだまするんだと、後から先輩が教えてくれた。