1ヶ月

コタローが匂いを嗅いだプリントを見ると、尚の筆跡。

おそらく、帰る時に間違えたんだろう。
他にも何枚かプリントが机に出てたし。


「コタロー偉いぞ。ついでに一緒に尚の家まで行かないか?数学の宿題やるの、免除してやるからさ」

なんて言いながらコタローを撫でると、「ワン!」とまた吠えた。


俺はプリントを持って部屋を出た。
コタローも後ろからついてくる。


「ちょっと尚の家に行ってきます。先に食べてもらって構わないので」

母さんの顔を横目に見ながら言った。


「そ、そう。気をつけて」

尚の名前が出たからか、母さんはびっくりしながら答えた。



家を出、コタローと夜道を歩く。
歩いてだいたい15分で尚の家に着く。


コタローはピタリと俺の横にくっついて歩いている。

……怯えてる?







動物の勘。

一瞬そんな言葉が頭をよぎる。


「……なーに、ビビってんだ俺」

大丈夫。
尚の家に行って、用を済ませて帰れば終わり。

それだけだ。



あんな過去に、いつまでも縛られてたら、進めないよ。